2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24593106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
川上 正良 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (20244717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和中 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90210989)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯科矯正学 / 遺伝子 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 国際情報交換 カナダ |
Research Abstract |
顎顔面発生期におけるWntシグナルの働きをしらべるため、Wntシグナルを阻害した場合の上顎形成への影響を調べた。Wntシグナルは、発生・形態形成の重要なシグナル伝達経路でbeta-cateninによって標的タンパク質の転写が活性化される。beta-cateninの細胞内蓄積を阻害するDickkopf-1(DKK-1)を、Wntシグナルのantagonistとして用いた。 Chick embryoを孵化発育させ、上顎突起が前頭鼻突起と癒合する直前のStage 20HHにDKK-1を 上顎突起にDKK-1を浸潤させたAffigel blue beadsを埋入した。 Beads埋入6時間後、24時間後、48時間後にembryoを摘出し、Lhx8 、Msx-1、Msx-2 probeを用いてwholemount in situ hybridizationを行った。また、embryoからbeads周囲の上顎突起を摘出し、RNAを抽出後real time RT-PCRで定量化して評価した。その結果、DKK-1 beads埋入後6時間後から、beads周辺のLhx8 、Msx-1、Msx-2遺伝子発現が減少し、real time RT-PCRで各遺伝子の定量を行うとBSAを投与した対照群と比べ、いずれも有意な低下が認められた。以上の結果から、Wntシグナルを阻害すると顔面形成期に発現するLhx8 、Msx-1、Msx-2の遺伝子発現が減少することが明らかとなった。 Lhx8 、Msx-1、Msx-2は、上顎の形成期、とくに顔面突起の癒合時期に発現することが明らかなっている。Wntシグナルの阻害により、Lhx8あるいはMsx1、Msx2遺伝子発現が減少したことから、口唇形成時のこれらの遺伝子はWntによって発現制御されていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in situ hybridizationの発現やreal time RT-PCRのデータにばらつきがみられ、結果をまとめるのに時間を要しているが、現在までおおむね順調に計画が遂行されている。次年度実施予定の標本作成も一部着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続きWntシグナル阻害による各種遺伝子発現の変化を調べる。また、Wntシグナルを阻害することにより、顎顔面の形態形成にどのような影響があるか検討するため、embryoの発育をさらに継続させ、ほぼ顔面骨格が完成するStage 36HHのembryoを摘出し、100%エタノールで固定後Alcian BlueとAlizarin Redの染色を行い、水酸化カリウムで軟組織を透明化し、顔面骨格および骨形成の状態を観察する。 Beads周囲の細胞死について、当初の計画ではNile Blue sulfate染色あるいはTUNEL染色を施す予定であったが、結果の信頼性に優れたcaspase-3による免疫染色法を行うことにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
In situ hybridization およびreal time PCRなどの分子生物学的試薬購入に使用。今年度は、学会等での結果公表を予定しているので、発表用のモバイルパソコンを購入する。また、論文投稿を行うため、そのための印刷費等を計上している。
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