2012 Fiscal Year Research-status Report
母獣咬合障害が子獣海馬機能を抑制し、生後の良好養育環境により改善されるか
Project/Area Number |
24593113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
飯沼 光生 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70184364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 金弥 星城大学, 医療技術学部, 教授 (00329492)
田村 康夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40113047)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎生期ストレス / 生後発達障害 / 海馬 / 空間認知能 |
Research Abstract |
老化促進モデルマウスを用い、生後3~4か月のマウスを交配させ、メンスが停止した直後に上顎臼歯部をコンポジットレジンで挙上し、ストレスをかけた。 まず、妊娠マウスのストレスを定量するため、ストレス関連物質の血中コルチコステロン濃度をラジオイムノアッツセイ法で計測した。その結果コントロール群の妊娠マウスと比較して挙上妊娠マウスの方が血中濃度が有意に高く、ストレスが確認された。 次にこれらの妊娠マウスから出生したマウスを生後1か月で離乳させ同一腹の雄マウスを1ケージ3匹で、生後2か月(若齢期)、5か月(成熟期)、10か月(高齢期)まで飼育し、Morris 水迷路テスト(海馬依存性の空間認知記憶能力の検定)を行った。その結果、生後2か月(若齢期)では差が認められなかったが、5か月(成熟期)、10か月(高齢期)では咬合挙上したマウスから生まれた仔獣の方が、コントロールマウスから生まれた仔獣より、プラットホームへの到達時間の短縮の割合が小さかった。 また、海馬歯状回での細胞新生への影響を調べるためBrdU(5-bromo-2-deoxyuridine)を水迷路テスト直後に3時間ごとに5回腹腔内に投与し、BrdU陽性細胞数を調べた。その結果、コントロールマウスから生まれたマウスに比べ、咬合挙上したマウスから生まれたマウスの方が、生後5か月(成熟期)、10か月(高齢期)では陽性細胞数が少なかった。 これらのことから妊娠期に咬合挙上のストレスが加わることによって、生まれてくる仔獣は成熟期以降に海馬歯状回での細胞新生が抑制され、空間認知能が低下することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の実施計画のうち、探索行動テストは時間がなく出来なかった。 しかし妊娠マウスのコルチコステロン濃度の測定、仔獣マウスの水迷路テストを行い、ほぼ予想通りの結果を得ることができた。 また学会発表のために組織学的検索も必要と考え、平成25年度予定のBrdU陽性細胞の計測を前倒しで行い、これもほぼ予想通りの結果を得ることができた。 これらの結果は2013年6月に行われる第24回国際小児歯科学会(韓国、ソウル)で発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と同様の条件での妊娠マウスを作製し、そこから生まれた仔獣で探索行動テストと海馬錐体神経細胞の計測を行う。 次の目的である、胎生期の咬合挙上ストレスが神経認知機能への影響を、生後の養育環境を良好にすることでリカバーできないかについての検討を行う。 方法としては前年度と同様の条件で妊娠マウスを作製し、そこから生まれた仔獣を養育環境を良好にするため広いケージにプラスチック製の回転式遊具を入れて飼育する。これらのマウスを生後2か月(若齢期)、5か月(成熟期)10カ月(高齢期)まで飼育し探索行動テスト、水迷路テスト、海馬の組織学的探索(神経細胞数、新生細胞数)を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の成果を第24回国際小児歯科学会で発表するための旅費 海馬錐体神経細胞計測のための薬品費 ストレス計測のための血液検査費 飼料代
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Research Products
(1 results)