2012 Fiscal Year Research-status Report
卵巣摘出歯周病サルを用いた高齢女性の歯槽骨喪失メカニズムの解明
Project/Area Number |
24593133
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
江尻 貞一 朝日大学, 歯学部, 教授 (40160361)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 竜太 朝日大学, 歯学部, 助教 (00586927)
佐藤 和彦 朝日大学, 歯学部, 講師 (20340078)
田中 みか子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (20361909)
小萱 康徳 朝日大学, 歯学部, 准教授 (30076046)
澁谷 俊昭 朝日大学, 歯学部, 教授 (40206149)
池亀 美華 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70282986)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 骨粗鬆症 / 卵巣摘出サル / サル歯周炎モデル / カテプシンK阻害剤 |
Research Abstract |
1)卵巣摘出サル歯周病モデル作成 :カニクイザル用い、4頭に卵巣摘出術(ovariectomy:OVX)を、4頭には卵巣摘出の疑似手術(Sham operation)を行った。術後4ヶ月経過時点で、歯周炎を生じさせる目的で、下顎右側の大臼歯の歯頚部に絹糸を結紮。 絹糸結紮後4ヶ月目に屠殺し下顎骨を摘出。本研究では、各群の摘出した下顎骨を用い、大臼歯部歯槽骨について左側(コントロール郡)と右側(絹糸結紮側)を比較検討した。 2)歯周組織検査:ポケット深度測定、歯肉付着喪失度(LA)検査を行い、ANOVAにて優位さの検定を行った。 3)微細骨梁構造、骨梁骨密度の解析:μCTを用いて骨梁構造を解析すると共に、歯槽骨高さの減少度を測定した。 【結果】第2大臼歯のポケット深度については、Sham群とOVX群での有意差は認められず、それぞれの群において、糸を巻いた歯周病誘発部位において有意にポケットが深化していた。一方、X線写真で測定した第2大臼歯遠心歯間部の骨吸収度(CEJから骨頂までの距離)では、OVX群の値がSham群よりも有意に高かった。Sham群、OVX群ともに歯周病を誘発することで、歯間部の歯槽骨高さが減少した。また歯頸部に絹糸を結紮した歯周病誘発群においては、歯石の付着が認められた。歯周病誘発するとしないに関わらず、Sham群よりもOVX群において根分岐部における骨量の減少が認められ、骨梁の連結性の喪失が認められた。また、OVX群では、根分岐部の病変が重篤化している個体も認められた。 【結論】本研究の結果、局所の歯周病による炎症とエストロゲン欠乏という全身のホルモン動態の変化が、高齢女性の歯槽骨の骨吸収活性を相加的に亢進させる事が明らかとなった。特に根分岐部については、変化が顕著で注意深く検索する必要がある事が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卵巣摘出サル歯周病モデル作成に予想より期日がかかった事および、マイクロCT用3次元有限要素法応力解析システム(ラットックシステムエンジニアリング社・TRI/3D-FEM)の導入に期日がかかった事により、当初の実験計画よりやや研究の進行が遅れていると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)顎骨・歯槽骨の骨組織細胞化学的検索(小萱、江尻担当)試料をVillanueva bone stain で染色後、樹脂包埋しし共焦点レーザー走査型顕微鏡(現有設備)にて個々の細胞の態を観察する。また、可視化されたデジタル画像を硬組織画像解析装置(現有)に入力し、骨形成・骨吸収および骨代謝回転パラメータを測定する。本手法は我々が独自に開発したものである (Ejiri S, Tanaka M, et al. Arch Oral Biol , 51(11): 941-950, 2006) 。 (2)歯周組織細胞化学的検索・評価(佐藤、小萱担当) 歯周組織におけると間質系細胞と破骨細胞との相互作用さらに免疫系細胞との関連性を検索する。(i) 歯周組織間質細胞およびマクロファージ・T-Cell (Th17) におけるIL-1, IL-6, IL-17, TNF-α,PGE 2 等のサイトカイン産生の変化について免疫組織化学的に検索する。(ii) それらの細胞動態とともにOPG の局在とRANKL の免疫局在に注目して検索する。(iii) 歯根膜側および骨髄側の骨芽系細胞と破骨細胞系細胞の細胞間接着やB-Cell T-Cell 等免疫系細胞数の増加やCD16 発現増加などについて検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度助成金(直接経費)の使用計画としては、研究分担者である渡邉竜太朝日大学歯学部助教に40,000円、佐藤和彦朝日大学歯学部講師に40,000円、小萱康徳朝日大学歯学部准教授に40,000円、渋谷俊昭朝日大学歯学部教授に80,000円、田中みか子新潟大学医歯学総合病院講師に80,000円、池亀美華岡山大学医歯薬学総合研究科准教授に80,000円を配分し、総計で物品費として1,346,416円、旅費200,000円、謝金・その他として50,000円の使用を予定している。
|