2014 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性バイオフイルム構成細菌の生活環を制御する分子基盤の解明
Project/Area Number |
24593150
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00303983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 美樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20263303)
古田 信道 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50452446) [Withdrawn]
橋野 恵衣 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90614553)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | バイオフイルム / Porphyromonas gingivalis / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は平成25年度までに、歯周病原性菌Porphyromonas gingivalisがアルギニンを代謝することにより自ら産生し環境中へ放出するポリアミン前駆体(アグマチン)によって、同菌の表現型がプランクトニックからバイオフイルムへと変化する際の固層面への菌の集積が促進されることを見出した。平成26年度は、経時的メタボローム解析およびRNA-Seq解析により、その分子基盤を詳細に検討した。その結果、アグマチンに暴露させたP. gingivalisでは、バイオフイルム形成に至る前段階のプランクトニック増殖フェーズにおいて、ATP、アセチルCoAなど高エネルギー化合物の菌体内濃度が特異的に高まり、その後バイオフイルムを高度に発達させる状態へと表現型が変化した段階においては、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、 FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)などの酸化還元反応電子運搬体の産生が亢進することが明らかとなった。P. gingivalisの嫌気呼吸様式はフマル酸呼吸であるとゲノム塩基配列情報から推測されているが [Meuric et al. Future Microbiol. 2010 5(5), 717-734]、フマル酸呼吸によって産生されるコハク酸も、バイオフイルム形成フェーズにおいてアグマチン処理群で菌体内濃度が上昇していることから、アグマチンへの暴露によって、P. gingivalisのフマル酸呼吸における酸化還元反応が亢進していることが示唆された。
|