2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔組織に対する還元型コエンザイムQ10の抗加齢作用の検討
Project/Area Number |
24593153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
友藤 孝明 岡山大学, 大学病院, 講師 (80335629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 学 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40157904)
遠藤 康正 岡山大学, 大学病院, 医員 (50580213)
江國 大輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (70346443)
東 哲司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80432649)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗加齢 / 酸化ストレス / 歯周組織 / ユビキノール |
Research Abstract |
加齢に伴い酸化ストレスが増加することが報告されている。また、酸化ストレスは歯周状態の悪化に関わることが知られている。したがって、抗酸化物による酸化ストレスの低下は、加齢による歯周組織の悪化を抑制できるかもしれない。本研究では、歯周組織に抗酸化物であるユビキノールを配合した軟膏を塗布し、加齢に伴う歯肉酸化ストレスの増加への影響を検討した。4ヵ月齢のFischer344雄性 ラット12匹を、6匹ずつ、対照群(単軟膏を塗布)と試験群(1%の濃度で配合したユビキノールを含む単軟膏を塗布)の2群に分けた。軟膏の塗布は1日1回、週に5回の頻度で行い、実験期間は2ヵ月とした。酸化ストレスの評価には、抗8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG)抗体を用いた免疫染色を行なった。また、酸化ストレスに関連する遺伝子発現についてもリアルタイムPCR法を用いて測定した。その結果、歯周組織における試験群の8-OHdG陽性細胞数は、対照群よりも有意に小さな値を示した(p < 0.05)。試験群におけるnuclear factor -kB とinterleukin-1βの遺伝子発現もまた、対照群と比べて有意に低かった(p < 0.05)。以上のことから、ユビキノールには、加齢に伴う歯肉の酸化ストレスを減少させる効果があることが示唆された。本研究から得られた研究成果は、抗加齢医学的な観点からの歯科治療を確立するための基礎データとなることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、4ヵ月齢のラットを対象にユビキノール(還元型コエンザイムQ10)を塗布し、加齢による歯肉の酸化ストレスの増加にどのような影響を及ぼすのかを検討することを目的とした。その目的に対して、ユビキノールには、加齢に伴う歯肉の酸化ストレスを減少させる効果があることが明らかにでき、おおむね順調に研究が進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ユビキノールに歯周組織に対する抗加齢作用があることが分かったものの、抗加齢作用を示すのに適した配合濃度は不明である。今後は、歯周組織の抗加齢作用を高めるのに適したユビキノールの配合濃度を決める必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
4ヵ月齢のラットを購入し、対照群と実験群の2群に分ける。対照群には基剤のみを、そして実験群には0.5%、1%もしくは10%の濃度で還元型コエンザイムQ10を配合させた軟膏を、小筆を用いて口腔全体に1日1回の割合で4ヵ月間塗布する。実験期間終了後、ジエチルエーテルで安楽死させ、歯肉を顎骨ごと摘出し、病理変化を観察する。また同時に歯肉からRNAを抽出し、酸化ストレスに関連する遺伝子発現の変化を検討する。さらに、血液の酸化ストレス・抗酸化力の定量分析も行う。なお、1群あたりの匹数は、4群比較の統計分析に耐え得るように8匹とする。
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