2013 Fiscal Year Research-status Report
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24593167
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
冨田 かをり 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80338532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 摩理 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (20445597)
大岡 貴史 昭和大学, 歯学部, 講師 (30453632)
向井 美惠 昭和大学, 歯学部, 名誉教授 (50110721)
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Keywords | 立体認識 / 口腔 / 温度 / 物性 / 摂食 |
Research Abstract |
24年度の結果より、口腔における立体認識能力は認識にかける時間の影響を受けることが明らかになったので、25年度は口腔内で確かめる時間を7秒に規定した。また円柱と直方体で明らかな差異がなかったことから、変数を少なくするためにも25年度は円柱ピースに限定して測定を行った。一方物体の物性は認識に影響を与える因子であるという仮説のもとにソフトレジンで新たに実験ピースを作成し、物体の物性、温度が認識に与える影響を検証する実験を行った。25年度の実験の対象は27名の健康な20代の成人とした。実験に先立ち3種類の円柱ピース(断面直径12,14,16mm,高さは共通で5mm)を歯科用常温重合レジン、および軟性レジンでそれぞれ必要数作成した。視覚遮断下で被験者の口腔内に挿入し7秒後にとりだした後、断面の円を感じた通りに描かせた。レジンピースの温度は、50℃,36℃,5℃の3種類に設定し、描かれた円の直径を測定し、温度、物性との関連を検討した。その結果、以下のようなことが明らかになった。1)すべての大きさ、温度、物性のレジンピースが実物より小さく認識されていた。2)男性は女性に比べ、個人差が大きかった。3)認識に温度の影響は認められなかった。4)ソフトレジンはハードレジンに比べより小さく認識されていた。 実験後の被験者の感想では、温度では冷たい物体、物性ではソフトレジンのほうがわかりにくいという者が多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新たに27名の被験者の協力が得られ、口腔内で感じた大きさを自由に描かせることで、データが連続変数化され統計解析の選択肢が広がった。また技工所の協力で、大きさが同じで物性の異なる実験ピースを必要数複製することができたため、物性・温度のみを替えた比較実験が順調に進んだ。また、精度の高い赤外線放射温度計を用いて、実験ピースの表面温度を瞬時に測定することができたので、実験ピースの温度設定もより正確に行うことができた。口腔内で立体の大きさを認識する能力が、立体の温度や物性の影響を受けるかどうかについては「温度の影響は有意ではないが物性の影響は認められ、ソフトレジンのほうがハードレジンに比較して大きさを正確に感じにくい」という結論に現時点で達することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向性は、口腔内での認識が食べる動作に影響しているかどうかを検証することである。現在、アンケートで食べるスピードなどを尋ね、立体認識と食べる速さとの関連を調べているところである。物を小さく感じている人は、食物をたくさん口腔内に詰め込む傾向があるかどうかを検討する予定である。 一方小さく感じる程度の強い人とそうでない人を数人ずつピックアップし、一口量やスピード、咀嚼時間などを計測する予定である。 食物を使って摂食場面をビデオ撮影し、一口量や摂食速度などを調べていく。 また26年度は最終年度であるため、今までの研究成果を発表する。国内では摂食嚥下リハビリテーション学会、海外ではiADHで成果発表を行う予定である。さらに24年度に学会発表した内容も合わせて、論文投稿を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
口腔内の認識を確かめる物体として食品ではなく、レジンピースを用いたので、滅菌後に再利用することが可能になり、その結果経費も安く抑えられ、被験者の数を増やすことが可能になった。また動作解析には容量の大きいPCが必要であるが、今年度は動作解析を行わなかったので、PCを買い足すことをしなかった。その分残った予算は次年度に持ち越し、PCや解析ソフトなどに使う予定である。 また学会発表も今年度は国内のみであったため旅費も少なくて済んだが、次年度は国際学会発表を視野に入れ、予算を持ち越した。 最終年度であり、学会発表や論文投稿を予定しているので、その費用に充てる。学会も国際学会、投稿も海外の雑誌を予定しているため、旅費や通信費が必要になると考えられる。 また摂食動作と口腔の立体認識能力の関連を見るために実験も引き続き行うため、その謝金や実験に必要な機器の購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)