2014 Fiscal Year Research-status Report
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24593167
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
冨田 かをり 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80338532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 摩理 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (20445597)
大岡 貴史 昭和大学, 歯学部, 講師 (30453632)
向井 美惠 昭和大学, 歯学部, 名誉教授 (50110721)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口腔 / 立体認識 / 物性 / 温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は新たに8名の被験者でデータを取得することができ、合計35名の健康成人を対象とした実験結果から、口腔内で立体を認識する能力について以下の知見が得られた。 1.口腔内では,立体の物性,温度によらず、実際より物体は小さく認識されていた.2.同じ物性・温度では、小さいものの方が、より小さく認識される傾向があった。3.認識力に男女差は認められなかったが,男性は女性に比較して個人差が有意に大きかった.4.立体の認識に影響を与える要因の分析において,強い順に立体の物性,性別,温度であった.物性では柔らかいものの方が、より小さく認識される結果であった。5.口腔容積に影響を与えると考えられる被験者の身長の影響を調べたが、有意な影響ではなかった。ただし本研究では、体格は身長の情報のみで、口腔容積を計測したわけではない。精密に口腔の容積や形態との関連を調べるためには、印象して模型上での分析が必要とされるが、体格との関連が示唆される結果ではなかったのでそこまでの解析は行っていない。 摂食嚥下機能は先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期の5期モデルによる説明が一般的であるが、研究結果から、先行期における対象物認知の重要性が示唆された。本研究は対象となる立体としてレジンの円柱ピースを用いているので、そのまま結果を食物に適用できるとは限らないが、介助摂食の場合、先行期における視覚認知が得られないまま食物が口に入る可能性があり、できるだけ視覚による認識を促すこと、またそれが可能でない場合は、声かけでの情報やさらに量や一口の大きさについて介助者の十分な注意が必要であることが推察される。特に軟性の物体でより小さく認識されていた結果から、形態を調整した介護食はより認識しにくいと考えられ、そのことを理解した上での食事介助が必要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
35名のデータを解析してさらに信頼度の高い結果が得られたので学会発表を行うことができた。国内学会では、平成26年9月に開催された摂食嚥下リハビリテーション学会でポスター発表を行い、質問やコメントを頂いた。また同年10月には国際障害者歯科学会でも発表し、本研究の結果をどのように認知機能が不十分な対象者の支援に活かしていくかをディスカッションできた。一方、当初の計画と異なり、実際の食物を対象物としていないため、直接摂食動作の解析にはつなげることはできなかった。代替として、食べるスピードなど日常の食事習慣などの情報を聞き取り、関連を検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の終了時にデータは全て取り終わり、学会における成果発表は行っている。 今年度は他の研究者の先行研究の結果なども参考にしながら、複数の論文にまとめて投稿を予定している。 投稿後、査読によっては追加実験を求められたり、必要な場合は自ら行う可能性もあるので、時間的な余裕を持って論文投稿をする予定である。
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Causes of Carryover |
26年度は、学会発表までは出来たものの、論文投稿には至らなかった。 そのため次年度に持ち越し、論文発表をするための投稿料や資料代に充てる予定である。 また査読後、追加実験を求められたり、論理を展開する中で自ら必要を感じた実験を追加する可能性もあるため、そのための予算を残している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文を書くために必要な資料(論文)を取り寄せたり、書籍を購入する。また掲載に至った場合には投稿料がかかるのでそれに充てる。さらに追加実験が必要になった場合には、その経費として使用する。
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Research Products
(2 results)