2013 Fiscal Year Research-status Report
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24593184
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
大槻 久美 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 准教授 (80546341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 美華 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20305345)
川原 礼子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (40272075)
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Keywords | 退院支援 / 地域連携 / がん患者 / 看看連携 |
Research Abstract |
がん患者の退院支援に際しては、最後をどこでどのように過ごすかという、より患者・家族の目線に立った退院支援を考えていかなければならない。そのためには、地域において患者の生命や患者・家族の生活を支える訪問看護師と、病院看護師間の連携システムの構築が必要であり、実践した退院支援の経験を共有し、退院支援に対してお互いのレベルアップが図れる(実感できる)仕組み作りを本研究は目的としている。 平成24年度に実施した、訪問看護師とA病院病棟看護師に退院支援の現状と課題や看護師同士の連携(以下看看連携)をインタビューした結果より、退院支援に関する看看連携について共通した認識や、連携に対する方策などを問う質問紙調査を平成25年3月に実施した。 上記の研究に先立ち平成24年度に実施したインタビューでは、病棟看護師や訪問看護師ともにA病院の地域連携支援室にいる看護師(退院調整看護師)は退院支援の要の存在であり、訪問看護師と病院看護師間の連携システムを考える土台として、訪問看護師が病棟看護師と共に実践した退院支援の評価や、在宅での患者・家族の様子を病棟看護師にフィードバックする必要があるとの意見を戴いた。そのため、平成25年3月に実施した質問紙調査では、訪問看護師から病棟看護師に退院支援に関してフィードバックの方法等も調査した。 平成25年度は質問紙調査の結果の詳細な分析と共に、フィードバックするための具体的な方法や、その方法の実現可能性の有無を踏まえ、訪問看護師に無理がかからず継続可能な方法を研究協力者(退院調整看護師と訪問看護師)と共に検討した。その際に、緩和ケア普及のための地域プロジェクト(厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究)で出されている「地域連携のためのツール(2008)」や、在宅移行時アセスメントシート(樋口、2008)などの先行研究も交えて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A病院におけるがん患者の退院支援の動向について、平成19年度から平成23年度までの在宅復帰率は6割を超えており、医療処置の継続数の増加に伴い、往診医や訪問看護師との連携も増加傾向にある。この現状を踏まえて、がん患者の退院支援を考える際に重要となる、医療処置の継続ができるかということや介護力の有無のほかに、時期を逃さない退院支援が必須となり、このことが患者・家族の目線に立った退院支援ができているかという評価に繋がると考える。 質問紙調査の実施前にプレテストとして行った、訪問看護師や病棟看護師に対するインタビュー調査では、A病院における退院支援の評価や、看看連携の必要性や、退院支援に対してお互いのレベルアップが図れる(実感できる)仕組み作りのためにも、退院支援の評価や、在宅での患者・家族の様子を病棟看護師にフィードバックするする必要があるとの意見が大多数であった。この結果は、退院支援における地域連携システム構築の柱になると考え、質問紙調査では訪問看護師から病棟看護師へ退院後の患者・家族の状況をフィードバックする方法を具体的に記述してもらうことができた。 平成25年度は、実際にA病院の地域連携支援室にいる看護師(退院調整看護師)を中継して、継続可能な訪問看護師から病棟看護師への退院支援に関するフィードバック方法を検討するとともに、質問紙調査の結果から訪問看護師と病棟看護師のお互いが感じている、がん患者に対する退院支援における連携について意見を集約することができた。 上記より、平成25年度までの「退院支援における地域連携システム構築に関する研究」は、概ね予定通りに進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に検討したA病院の地域連携支援室にいる看護師(退院調整看護師)を中心として、継続可能な訪問看護師から病棟看護師への退院支援に関するフィードバック機能を持ったシステムのモデルを、平成25年3月に実施した質問紙調査に協力してくれた訪問看護ステーションとA病院の病棟間で実施する。 この試験的なモデルの実施と並行して、A病院の病棟看護師や、地域の訪問看護ステーションの看護師を対象に地域連携室が企画するワークショップや講演会に本研究成果を発表する。 その後、モデルの実施に関してA病院の病棟看護師と、連携した訪問看護ステーションの看護師に対し、モデルの評価のための調査を実施する。この評価では、特にがん患者の退院支援に対して、患者・家族の思いを支える退院支援に繋がっているか、看護師同士が退院支援に関してレベルアップを感じることができるか等という確認も含めた評価を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、平成25年3月に実施した質問紙調査の結果の詳細な分析と共に、フィードバックするための具体的な方法や、その方法の実現可能性の有無を踏まえ、訪問看護師に無理がかからず継続可能な方法を研究協力者(退院調整看護師と訪問看護師)と共に検討した。そのため、新たな調査は行わず、研究成果の発表等も地域連携システム構築の前段階までの報告に留まったので、次年度使用額が生じてしまった。 平成26年度早期に、研究協力者(A病院の地域連携支援室にいる看護師と、訪問看護師)と共に、より実現性が高く継続可能な訪問看護師から病棟看護師への退院支援に関するフィードバック機能を持ったシステムのモデルを、今まで研究協力をしてくれた病棟と訪問看護ステーションで実施する予定である。そのため、施設間の調整等も含んだハード面の整備に前年度分の助成金の残金を使用する予定である。
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