2012 Fiscal Year Research-status Report
応急仮設住宅居住高齢者のストレス応答反応,環境,眠りの関連と包括的睡眠ケアの構築
Project/Area Number |
24593191
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 君枝 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80274059)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 災害 / 看護 / 応急仮設住宅 / 睡眠 |
Research Abstract |
本年度は,福島県内の応急仮設住宅地域を定期訪問し,避難者に対し生活や健康に関する相談会や交流,講話の場を持ち,睡眠状況を把握した.また,睡眠に関する量的記述的調査と睡眠生理学的評価,室内環境調査を行った. 1. 量的記述的調査 2012年9月,自記式調査用紙を配布した.調査内容は,年齢,性別,家族構成,就業状況,被災状況,受診状況,身長,体重,飲酒状況,応急仮設住宅の不便,ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI),国際標準化身体活動質問票,K6質問票等であった.297部配布し,113部の回答を得た(回収率38.0%).平均年齢は66.7±12.7歳で,PSQIGと体調,受診状況が有意に関連しており,体調は睡眠の質,睡眠時間,眠剤使用に影響していた.また,抑うつの有無と睡眠の質,睡眠困難,体重の減少が関連していた.避難に伴う心身の不調や疾患や生活環境が睡眠の悪化に影響していると考えられた. 2. 睡眠評価および室内環境調査 2012年9月~11月,避難者と被災地域外の一般住民を調査対象とし比較分析を行った.調査内容は,睡眠日誌と自記式調査用紙,連続7日間のアクティグラフ(A.M.I社製)装着,室内温湿度測定であった.対象者は避難者6名(以下,避難者群),一般住民5名(以下,一般群)で,PSQI総合得点は避難者群が有意に高値で(p=0.048),K6得点の群間差はなかった.主観的な睡眠時間と客観的な睡眠時間のいずれも一般群が有意に長かった.避難者の睡眠の改善には心身ケアや生活支援,睡眠時間確保が望まれた. 3. 眠りの質的評価 健康相談会において6月参加者の眠剤服用率は21.4%であり,10月参加者の32.0%が,昨年より睡眠状況が改善していると回答した.調査期間中の訴えは眠剤を服用しても眠れない,熟睡間が得られない,音が気になる,雪かきで早く起きなければならない,などがあった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って調査を実施した.応急仮設住宅居住者の睡眠に関する量的記述的調査と睡眠生理学的評価,室内環境調査を行った.また,応急仮設住宅地域の定期訪問を通して避難者と交流を持ちながら,経時的に定性評価と避難者の訴えを把握した.現在,活動量と室内環境調査を終了しており,今後睡眠との関連を分析する.免疫学的ストレス調査は今年度対象者の確保が困難であったため,次年度調査の課題とする.
|
Strategy for Future Research Activity |
福島県内の応急仮設住宅居住者の睡眠評価について雑誌論文として公表し,避難者の睡眠ケアに関する提言を行う.また,得られた結果を被災地域の専門職に還元し,災害支援の資料とする.さらに免疫学的ストレスの評価と応急住宅仮設環境評価を行い,睡眠に対する影響を把握する.応急仮設住宅生活が長期化するコミュニティと居住環境を継続して把握しながら,避難者の睡眠について主観的,客観的手法を用いて追跡調査を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は,旅費(研究成果発表,福島県の応急仮設住宅定期訪問,現地保健師との打ち合わせ)160千円,人件費(謝金,翻訳費)125千円,その他(免疫学的ストレス評価の唾液試料中成分測定受託費,研究成果発表,通信費)537千円,計822千円を要する.
|
Research Products
(3 results)