2012 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害地域の被災住民が健康生活を維持するための災害支援看護活動モデルの開発
Project/Area Number |
24593210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
安齋 由貴子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80248814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 幸子 宮城大学, 看護学部, 教授 (70204237)
桂 晶子 宮城大学, 看護学部, 准教授 (00272063)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 災害看護 / 災害時の健康生活 / 災害支援ナース |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災のような大規模災害において被災した住民が健康生活を維持するため、これまでの災害で得た経験知を基盤に、看護職が有する知識・技術を結集して、継続的で、かつ実効的な災害支援看護活動モデルを開発することを目的とする。 平成24年度は、東日本大震災時に行われた看護支援活動について、これまでの研究成果と照合し、災害時や災害後における看護支援活動の課題を分析・整理した。まず、高齢者、母子、生活習慣病や慢性疾患等の内容に分けて文献検索を行った。その結果、文献のほとんどがフェーズ4,5に分類され、フェーズ1,2に関する文献は少ないことが明らかになった。しかし、フェーズ1,2における看護支援は健康生活を支援するうえも重要な時期であり、多くの看護職が支援を行っている現状がある。今回の震災では、特に、高齢者が被災後から避難所生活において身体的・心理的に過重な負担が強いられ、一般の避難所では生活が困難となって福祉避難所に移動した高齢者が多かったこと、本来ならば、早期に、福祉避難所に避難することによって、健康の維持が保たれた可能性もあったが、移動がスムーズにはいかなかったことの実態を明確化し、今後の適切な支援のあり方について明らかにしていく必要があることが確認された。しかし、支援ナースは数日で交代するため、その全貌を把握することは困難であり、生活していた住民の視点から、実態を明らかにする研究も必要であることが確認された。 そこで、本年度は、福祉避難所で生活した高齢者を対象に、家庭訪問による面接調査によって、被災後の高齢者の生活の実態を明らかにすることとした。現在、6世帯、9名の介護者、要介護者へのインタビューが終了した。震災時から避難所および福祉避難所、仮設住宅でのさまざまな生活の実態の聴き取りを行うことができ、分析を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、東日本大震災時に行われた看護支援活動について実態調査によって把握し、災害看護に関するこれまでの研究成果と照合し、災害時や災害後における看護支援活動の課題を分析・整理する計画であった。まず、高齢者、母子、生活習慣病や慢性疾患等の内容に分けて、文献検索を行った。その結果、フェーズの違いのみならず、高齢者の健康状態や疾患、母子の健康障害の種類や程度等、多岐にわたることがわかった。しかし、ほとんどがフェーズ4,5に分類され、フェーズ1,2に関する文献は少ないことも明らかになった。その時点で、災害支援ナースのコーディネーター経験者等と今後の方向性を検討した。その結果、支援ナースは数日で交代するため、その全貌を把握することは困難であり、支援者側からの研究と同時に、そこで生活していた住民の視点から、実態を明らかにする研究が必要であることが確認された。また、災害支援ナースが関わった事例の多くは要介護状態の高齢者であり、まずは避難所での生活を経験した高齢者への家庭訪問による面接調査を行うことにより、その実態を明らかにすることになった。現在、6世帯、9名の介護者、要介護者へのインタビューが終了した。次年度からはこれらの分析を行い、この結果をもとに、災害時や災害後における看護支援活動の課題を分析・整理する計画である。 今年度の分析によってさらに実態が明らかになるが、災害支援看護活動モデル作成のためのデータ収集を実施したことから「おおむね順調に進行している」という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、東日本大震災のような大規模災害において被災した住民が健康生活を維持するため、これまでの災害で得た経験知を基盤に、看護職が有する知識・技術を結集して、継続的で、かつ実効的な災害支援看護活動モデルを開発することである。 平成25年度は、平成24年度の検討結果を踏まえ、避難所や福祉避難所で生活した住民の実態を明らかにし、様々な組織、職種およびボランティアとの連携・調整を含む具体的な支援活動の内容と体制、およびこれらを推進・実現するための教育・研修体制などを組み入れた災害支援看護活動モデルの試案を作成する。この試案を基に、災害支援に関する専門家との会議を持ち、試案を精選しモデルを開発する。 さらに平成26年度は、試案作成したモデルを看護師、保健師、助産師を対象とした研修会を実施し、その評価をとおしてモデルの実効性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度行った訪問面接調査のテープ起こしが4月末に納品されたところである。繰り越したほとんどの金額が充てられる予定である。 平成25年度については、平成24年度に収集したデータをもとに、モデル作成のベースとなるデータ分析のための研究者の打ち合わせ会議を行う。また、この分析によって、東日本大震災後、多くの支援者が押し寄せる中でも地域住民がどのような生活をしていたのか、その実態を研究的視点で明らかにし、結果を学会で発表する。さらに、当初の平成25年度の予定であった災害支援看護活動モデルの試案を作成する。平成25年度分については、このモデルの妥当性を検証するため会議費、データ収集にかかる経費、学会発表にかかる経費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)