2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害地域の被災住民が健康生活を維持するための災害支援看護活動モデルの開発
Project/Area Number |
24593210
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
安齋 由貴子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80248814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 幸子 宮城大学, 看護学部, 教授 (70204237)
桂 晶子 宮城大学, 看護学部, 准教授 (00272063)
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Keywords | 災害看護 / 災害時の健康課題 / 災害時の保健師活動 / 東日本大震災 |
Research Abstract |
本研究は、大規模災害において被災した住民が健康生活を維持するため、これまでの災害で得た経験知を基盤に、看護職が有する知識・技術を結集して、継続的で、かつ実効的な災害支援看護活動モデルを開発することを目的とする。 平成24年度に、福祉避難所で生活した高齢者を対象に、家庭訪問による面接調査を行った。協力が得られた6世帯、9名の介護者、要介護者を対象に、震災時から避難所および福祉避難所、仮設住宅でのさまざまな生活の実態の聴き取りを行った。平成25年度は、質的帰納的研究方法を用いて、分析を行った。 まず、高齢者の特徴に焦点を当てて分析を行い、その結果、7カテゴリと23サブカテゴリが抽出された。カテゴリは次の7つだった。【寒さに耐える雑魚寝生活】、【生きるための最低限の水と食べ物】、【不衛生な代用品のトイレでの慣れない排泄】、【日用品の不足による着の身着のままの生活】、【「生」の強さの実感と人々が支え合う生活への感謝】、【浅ましい人間の姿に心が傷つく生活】、【我慢を強いられた避難所生活への吐露】 また、人的支援が乏しい中、保健師は、どのような活動を行ったのかを明らかにすることにより、今後の災害時の支援について示唆を得ることを目的に、市町村保健師5名、保健所保健師1名の協力を得て、インタビューを行った。まず、保健所保健師の活動に焦点を当てて分析した。その結果、5つのカテゴリ、14のサブカテゴリが抽出された。カテゴリは次の5つであった。【現地への派遣と支援体制の決定・調整】、【被災地域の情報に基づく課題分析】、【保健所の特徴を生かした課題対応】、【県の機関としての役割発揮と組織的対応】、【関係機関や社会資源の活用による工夫】 現在、要介護状態に焦点を当てた分析、市町村保健師活動に関する分析を行っているところである。 国内外の学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、災害に関わる看護支援活動の継続的な実施体制として、様々な組織、職種およびボランティアとの連携・調整を含む具体的な支援活動の内容と体制、およびこれらを推進・実現するための教育・研修体制などを組み入れた災害支援看護活動モデルの試案を作成する予定であった。一方で、高齢者、母子・障害者、生活習慣病等に分けて検討を進めていた。高齢者の避難所での生活をナラティブに記述し、学会発表も行った。災害時の生活状況を研究結果として明らかにしたことは意義ある研究であったと考える。 今後、これらの現状にあった、また災害時に活用しうる看護職の活動のために、これらに共通する災害時の看護活動を明らかにする必要があることなどが検討された。その結果、分析内容を再度検討し、さらに、東日本大震災直後から活動している保健師の活動を分析することとした。現在、要介護状態に焦点を当てた分析や、直接、避難所で活動した市町村保健師のデータを分析中であり、その結果を基に災害支援看護活動モデルの試案を作成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度の検討結果を踏まえ、様々な組織、職種およびボランティアとの連携・調整を含む具体的な支援活動の内容と体制、およびこれらを推進・実現するための教育・研修体制などを組み入れた災害支援看護活動モデルの試案を作成する。この試案を基に、災害支援に関する専門家との会議を持ち、試案を精選しモデルを開発する。 さらに、試案作成したモデルの検証のために看護職を対象とした研修会または調査を実施し、その評価をとおしてモデルの実効性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度はデータ分析と学会発表が主となった。プログラムの作成のためのメンバー会議やプログラム精選のための専門家による意見聴取のための会議を充実しさせていく必要がある。 プログラム開発のための会議、開発したプログラムの妥当性の検証、および報告書作成のための経費とする。 また、この研究過程で明らかになった住民の生活や看護職の活動について、またはプログラムの試案について学会発表し、広く意見等を求めることにより、精度の高いプログラムを作成する。
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Research Products
(4 results)