2012 Fiscal Year Research-status Report
超音波エコー装置を用いた肘窩の採血・静脈注射部位の安全領域に関する立体構造の解析
Project/Area Number |
24593215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
五味 敏昭 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00104159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國澤 尚子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20310625)
西原 賢 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80336495)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超音波エコー装置 / 肘窩 / 注射部位 / 正中神経 / 上腕動脈 / 血管神経束 / 神経損傷 / 血管損傷 |
Research Abstract |
1.目的:肘窩における採血・静脈注射は日常的に臨床現場で広く行われているが、針刺し等の医療事故が多発している。今回、超音波エコー装置を用いて、主に肘窩における刺入部位近傍における皮静脈の径、および血管神経束(正中神経、上腕動静脈)までの深度(距離・角度)を測定した。また肘窩の上腕二頭筋腱の内側に位置する血管神経束の位置関係についても検索した。 2.研究方法:被験者として本学学生107名(男子36名、女子71名、平均年齢21.3±2.5歳)の協力を得た。上腕骨の内側上顆と外側上顆を結ぶHuter線を基準線として、この基準線上で超音波エコー装置(Toshiba Aplio300)を用いて撮像した。本研究の倫理的配慮に関しては本学倫理委員会の承認を得た。 3.結果と考察:Huter線での断面における皮静脈は尺側皮静脈、肘正中皮静脈(尺側正中皮静脈・橈側正中皮静脈)、橈側皮静脈が観察された。各皮静脈の径は、尺側皮静脈は男性では2.8±1.2mm、女性では2.4±1.0mm、肘正中皮静脈は男性では4.5±1.9mm、女性では4.1±1.0mm、尺側正中皮静脈は男性では4.9±2.1m、女性では3.5±1.0mm、橈側正中皮静脈は男性では4.9±1.6mm、女性では3.9±1.3mm、橈側皮静脈は男性では3.4±1.4mm、女性では2.8±1.2mmであった。さらに上腕二頭筋腱の内側には血管神経束を構成する正中神経、上腕動脈、上腕静脈が観察されたが、神経・動脈・静脈の位置関係は様々であった。またHuter線の中央からの正中神経、上腕動脈、上腕静脈までの深度(距離・角度)はそれぞれ26.3mm・72.1度、20.2 mm・70.8度、21.0 mm・71.6度であった。 尺側皮静脈、尺側正中皮静脈は血管神経束と近接している像が認められ、刺入する際には注意を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波エコー装置を用いて、上腕骨の内側上顆と外側上顆を結ぶHuter線を基準線として、この基準線上で超音波エコー装置(Toshiba Aplio300)を用いて107名(男子36名、女子71名)について皮静脈および深部にある血管神経束(正中神経・上腕動静脈)を撮像した。 各皮静脈(尺側皮静脈、肘正中皮静脈(尺側正中皮静脈・橈側正中皮静脈)、橈側皮静脈)の径の計測および上腕二頭筋内側に位置している血管神経束(正中神経・上腕動脈・上腕静脈)の位置関係(距離・角度)の検索は順調に進展し新知見が得られた。また血管神経束についての読影・データ解析の一部は撮像の問題点などもあり若干予定を下回った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は超音波エコー装置を用いて、上腕骨の内側上顆と外側上顆とを結ぶHuter線を基準線として107名(男子36名、女子71名)を撮像した。今後の研究においても主にHuter線における断面について、各皮静脈(尺側皮静脈、肘正中皮静脈(尺側正中皮静脈・橈側正中皮静脈)、橈側皮静脈)の径の測定、および刺入部位近傍の正中神経・上腕動静脈の位置関係、径および深度(距離・角度)について200名を検索する。さらに皮静脈・神経・血管の位置関係について立体構築を行なう。また体表観察による皮静脈の観察と分類も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は超音波エコー装置の借用に費用がかからなかったたために、次年度使用額とすることができた. 次年度は今年度の2倍の200名の撮像を予定し、撮像・読影に専門家による指導、さらに得られたデータの統計的解析を行ない、皮静脈・神経・血管の位置関係について立体構築を行なう。また体表観察による皮静脈の観察と分類も行う。 研究成果については日本看護技術学会、日本看護学教育学会、日本解剖学会等で発表する。
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Research Products
(4 results)