2014 Fiscal Year Research-status Report
手洗いと速乾性擦式手指消毒薬を併用する際の注意点に関する検討
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24593239
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Research Institution | Miyazaki Prefectual Nursing University |
Principal Investigator |
島内 千恵子 宮崎県立看護大学, 看護学部, 教授 (00206161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 登志子 宮崎県立看護大学, 看護学部, 助手 (60626993) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 手指衛生 / 手洗い / 手指消毒 / 速乾性擦式手指消毒薬 / 石鹸 / 併用 / 注意点 / ウォーターレス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
手洗い直後に速乾性擦式手指消毒薬(以下擦式手指消毒薬とする)を使用した場合、手指から多数の細菌が検出されることがあり、どのような石鹸使用後にどのような擦込式手指消毒薬を使用した場合多数の細菌が検出されるのか、どのような場合は大丈夫か、どのような対策をとればよいか検討することを目的としている。 これまでに、液体石鹸2種類、固形石鹸1種類と流水、および流水のみの4通りで手洗いし、滅菌ペーパータオルで拭いた後、擦式手指消毒薬9種類(うち2種類は手術時手指消毒ウォーターレス法用)で手指消毒を行い、手形培地(SCDLP:消毒薬不活性化剤添加トリプトソーヤ寒天培地)で、手洗い前、手洗い後、消毒後に手指細菌の検出し、29通りの組み合わせについて、各29~36例検討した。ウォーターレス法用以外の7種類の擦式手指消毒薬については、単独使用時の消毒前後の手指細菌の検出も各30~31例行った。 ウォーターレス法用以外の7種類の擦式手指消毒薬を手洗い後に使用した場合、手洗いをしないで消毒した場合と比べ、手洗い後に消毒した場合の平均検出菌数は、これまでに行った24通りの手洗いと手指消毒の組み合わせでいずれも多く、うち14通りの組み合わせについてはt検定で有意差がみられた(p<0.05)。 流水のみの手洗い後に擦式手指消毒薬を使用した場合にも、擦式手指消毒薬単独使用に比べると検出菌数が多く、流水の使用によって手指に水分が存在することの影響があると考えられる。 ウォーターレス法用の擦式手指消毒薬(エタノール約80vol%、クロルヘキシジングルコン酸塩0.5g/100ml)は、手洗い後に消毒しても検出菌数が少なく、手洗い後の使用に適していると考えられた。しかし、別のクロルヘキシジングルコン酸塩0.5%含有のウォーターレス法用の擦式手指消毒薬を手洗い後に使用した場合、消毒後の検出菌数が多い例もみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
手洗い直後に速乾性擦式手指消毒薬を使用した場合、手指から多数の細菌が検出されることがあり、どのような石鹸使用後にどのような速乾性擦込式手指消毒薬を使用した場合多数の細菌が検出されるのか、どのような場合は大丈夫か、どのような対策をとればよいか検討することを目的としている。 平成26年度にこれまで実施していない手洗い方法と速乾性擦式手指消毒薬の組み合わせで例数を増やし、まとめて研究を終了する予定であったが、被験者の学生の実習体制の変更等により、例数を増やすことができず、事業の延長を申請した。 これまでに以下のようなことが明らかになっている。 3種類の石鹸と流水、および流水のみの4通りの手洗いと9種類(うち2種類は手術時手指消毒ウォータ-レス法用)の速乾性擦式手指消毒薬について、各組み合わせ29~36例検討した。その結果、2種類の手術時手指消毒ウォーターレス法用以外の7種類の速乾性擦式手指消毒薬を手洗い後に使用した場合、いずれも手洗いをしないで消毒した場合と比べ、検出細菌数が多い傾向がみられ、石鹸の種類や石鹸使用の有無による大きな差はみられなかった。 手術時手指消毒ウォーターレス法用の速乾性擦式手指消毒薬(エタノール約80vol%、クロルヘキシジングルコン酸塩0.5g/100ml、ジェル状)は、手洗い後に消毒しても検出菌数が少なく、手洗い後の使用に適していると考えられた。しかし、別のクロルヘキシジングルコン酸塩0.5%含有の手術時手指消毒ウォーターレス法用の速乾性擦式手指消毒薬を手洗い後に使用した場合、消毒後の検出菌数が多い例が若干あり、クロルヘキシジングルコン酸塩が0.5%入っていれば大丈夫とは言い切れない面もみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者に協力を得る体制を整えて、これまでには実施していない手洗い方法(石鹸の種類および流水のみ)と速乾性擦式消毒薬と組み合わせについて検討する。手洗い後に擦式消毒した場合、検出菌数が増える理由として、皮膚表面に水分が存在することで、消毒薬と皮膚が接触しにくくなること、消毒薬の成分が希釈されることによる消毒効果の低下が考えられる。また、手洗いをしないで擦式手指消毒薬を使用した場合に比べ、手洗い後に擦式手指消毒薬を使用すると、皮膚表面に水分が存在することで、擦り込みに要する時間が延長し、消毒効果の低下した状態で長く手をこすりあわせることで、手指細菌が浮き上がり剥がれやすくなることが考えられる。そこで、手洗い後に速乾性擦込式手指消毒薬を使用するまでに時間置いた場合、どの位で手洗いの影響がなくなるか(手指が乾燥するか)の検討も今後できれば行いたい。
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Causes of Carryover |
平成24、25年度は、主に実験実習の際に、研究について説明し同意を得た学生等を被験者として、手洗い・消毒前後の手を手形培地にスタンプしてもらい、データをとってきた。平成26年度も、これまで実施していない手洗い方法と速乾性擦式手指消毒薬の組み合わせで例数を増やし、まとめて行く予定であったが、実習体制の変更等により、例数を増やすことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
手形培地の購入、石鹸・消毒薬、ペーパータオルの購入、データ整理・分析・保存・印刷のための費用、コロニーカウント・データ整理補助者への謝金、研究についてアドバイスを受けるためまたは発表するための旅費、論文投稿料、英訳料など
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