2013 Fiscal Year Research-status Report
母性看護学における看護実践能力を高めるための教育方法の開発
Project/Area Number |
24593242
|
Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
坂間 伊津美 茨城キリスト教大学, 看護学部, 教授 (40285052)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
礒山 あけみ 茨城キリスト教大学, 看護学部, 助教 (00586183)
小松 美穂子 茨城キリスト教大学, 看護学部, 教授 (50134169)
渋谷 えみ 茨城キリスト教大学, 看護学部, 講師 (60382818)
|
Keywords | 看護実践能力 / 母性看護学 / 教育方法 / 教材開発 / 看護過程 |
Research Abstract |
本研究は、母性看護学における看護実践能力を高める教育方法を開発するため、産褥・新生児期の紙上患者事例をもとに看護実践映像型教材を作成したうえで、看護過程の演習に映像型教材を加えた学習の有効性を評価することを目的としている。 平成25年度は、1.映像型教材の作成(1本)、2.質問紙作成と調査の実施、3.研究成果の発表を行った。 1.映像型教材の作成:本研究における教材の特色をふまえて、「新生児のアセスメントとケア」の教材を作成した。 2.質問紙作成と調査の実施:映像型教材を加えた学習の有効性を評価することを目的として質問紙を作成し、調査を行った。倫理的配慮等を説明して研究参加の同意を得た3年次生33名を、従来通りの学習群(対照群)と、授業終了後に映像型教材での学習を加える群(介入群)に無作為に割り付け、介入群には前年度に作成した「生殖器・全身の復古のアセスメントとケア」の教材を1週間、自己学習で視聴してもらった。自己学習前後および母性看護学実習終了後に無記名質問紙調査を行った。本研究は、対照群を設定した介入研究デザインである点に意義がある。有効回答は、自己学習後32名(有効回収率97.0%)、実習終了後28名(有効回収率84.8%)であった。介入群は、教材を平均3.4回視聴しており、約8割の学生が「看護の場面をイメージ化する」ことに役立ったと評価した。自己学習前後の調査では、介入群は、「褥婦へのケア方法の理解」「褥婦・新生児の看護実践に対する自信」が対照群に比べ有意に高くなることを明らかにした。また、母性看護実践能力に対する自己評価(著者ら作成の25項目)や実習への自信について、自己学習前後の有意差はみられなかったが、実習終了後では介入群、対照群ともに有意に高くなることを明らかにした。 3.研究成果の発表:平成24年度の教材開発の過程について第28回日本助産学会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、映像型教材の追加作成、看護実践能力に対する自己評価や教材の効果を測定する質問紙作成、母性看護学を履修する3年次生を対象として映像型教材を加えた学習の有効性を評価するための質問紙調査の実施を計画していた。平成24年度に完成した映像型教材を視聴してもらい、自己学習前後および母性看護学実習後の3時点での調査を実施したこと、新たに「新生児のアセスメントとケア」の1場面について教材を作成したことから、ほぼ計画どおりの進行といえる。 計画通りに進めることができた理由としては、教材作成が2本目であるため、撮影の準備や出演者らとの調整、あるいは編集のプロセスが比較的順調に行えたことがある。 また、縦断的に実施した質問紙調査において、研究協力者への説明、質問紙の配布・回収などを分担研究者と協力しながら円滑に行えたことが挙げられる。 今後も研究スケジュールの管理を十分行い、研究目的の達成に向けて努力していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
「産褥・新生児期にある母子とその家族」の紙上患者事例の中から抽出した看護場面のうち、「母乳育児のアセスメントとケア」について映像教材を作成する。これまで作成した2本の教材と同様、1)母性看護のイメージ化を促進し実習へのスムーズな導入を図るため、指導者とのコミュニケーション場面も含めての実習場面とする、2)学生の学習意欲を喚起するとともに、教授したい看護の視点を具現化するため卒業生に学生役を演じてもらいリアリティを増す、3)合間に学習の要点を挿入し、専門知識やアセスメントと看護実践を結びつける、などの工夫をする。 また、平成26年度においても、母性看護学を履修する3年次生を対象として、映像型教材を加えた自己学習前後、母性看護学実習後の看護実践能力に対する自己評価を質問紙調査により測定する。平成25年度の調査結果との比較を行い、履修年度による学習効果の差について検討を行う。授業が終了してあまり間をおかない時期の夏季休暇中に調査を開始する必要があることから、研究協力の応募者が想定よりも少なかった。平成26年度の調査では、できるだけ多くの研究協力者を得られるように、募集の方法や調査方法を工夫する。 さらに、映像型教材の学習効果、母性看護実践能力に対する学生の意識について、研究成果の発表を行う。 最終年度の研究計画を円滑に進めるため、分担研究者との協力および研究スケジュールの管理をさらに図っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用の研究費が生じた理由として、映像型教材の制作費や質問紙調査に係る物品費が使用計画よりも少なく抑えられたこと、文献整理や質問紙調査に関する研究補助の人件費等を使用しなかったことがある。 次年度使用額と合わせた平成26年度の研究費は、3本目の映像型教材を製作するために必要な撮影・編集費用、物品費、出演者への謝礼等として主に使用する計画である。 また、作成した映像型教材を用いた学習プログラムの有効性を評価するため、2年目の質問紙調査実施を予定しており、調査用紙などの文房具費や調査協力者への謝礼を支出する予定である。 さらに、研究が最終年度となるため、研究成果について学会発表するための旅費や論文作成経費を使用する計画である。
|
Research Products
(1 results)