2012 Fiscal Year Research-status Report
要介護高齢者を介護する女性の就労の有無による社会的損失
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24593248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
仁科 聖子 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 助教 (40449062)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 介護費用 / 社会的損失 / 就労 / 女性 |
Research Abstract |
【目的】要介護高齢者を介護する就労可能な介護者の離職や転職等による身体的、心理的、経済的負担による社会的損失を明らかにすることである。 【対象と方法】対象者は、要介護高齢者(65歳以上)を在宅で介護している介護者(65歳以下)の就労継続者または離職者。研究期間は2012年7月から2012年12月であった。データ収集方法は、介護者に対し就労の有無、経済状態、Zaritの介護負担尺度、POMS短縮版、SOCについて自記式調査票を用いて調査し、データ分析を行った。 【結果】回答者は118名(有効回答率25.2%)、年齢は50歳代が56名(48.3%)と最も多く、性別は女性96名(81.4%)で要介護高齢者との関係は、長女44名(37.3%)、嫁19名(16.1%)、妻13名(11.0%)などであった。介護期間は、平均5.5(±7.19)年であった。介護協力者は、協力者がある者が79名(66.9%)であった。就労者は85名(72.0%)で、うち介護のために仕事を変更した者は43名(36.4%)であった。介護者の収入は、仕事を変更した者が平均1,061,000円、離職者が4,134,706円減少していた。介護者の就労状況に影響を与える要因としては、要介護高齢者の要介護度が高いほど、介護者が離職や就労の変更している者が多く、介護者の年齢、介護協力者の有無も就労状況に影響を与えていた。 【考察】本調査においては介護者の7割以上が就労を継続していたが、介護により就労形態の変更を余儀なくされていた。今後は、さらに対象者数を拡大して調査を実施し、介護者の就労の有無による社会的損失について検討していくことの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、調査開始前に倫理審査の審査を受け、その後、調査を開始した。その後、調査票を回収し、対象者118名についてデータを分析中である。計画通り順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度、平成25年度も追加調査を行い、データ分析を行う。分析方法は、単純集計、就労者と就労変更者との比較を行うため、カイ二乗検定、インフォーマルケアの費用に関するデータ分析を行い、女性介護者が離職による所得の喪失から社会的損失を把握する。平成24年度実施した調査を基に、女性介護者の離職、転職前の収入から退職したことによる損失を試算するために、賃金構造基本統計調査から生涯賃金を試算する。国民生活基礎調査、就業構造基礎調査をもとに、(岩本2000)を用いて推計する。社会的損失に関する試算方法については、連携研究者から研究手法に関する助言を受けながら研究を遂行できるようにする。 平成24年度・25年度の調査結果をまとめ、報告書を作成し、医療経済に関する学会誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年3月24日~26日に行われた第83回日本衛生学会学術集会(金沢)において学会発表を行った。そのための参加費、交通・宿泊費を使用するため繰越金が発生した。
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Research Products
(2 results)