2014 Fiscal Year Research-status Report
被災地でのボランティアにおけるケアリング学習プログラムの検討
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24593264
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Research Institution | The Japanese Red Cross Toyota College of Nursing |
Principal Investigator |
中島 佳緒里 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 准教授 (90251074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 潤子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (40300222)
竹内 貴子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (70387918)
加藤 みわ子 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90633389)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 共感性 / パーソナルスペース |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,接近性における「視座の変換」の評価項目を決定するため,パイロットスタディとして,個人のパーソナルスペースの侵害がストレス反応(瞬目回数と交感神経活動)に影響を与えるのかを検討した。さらに,測定値によりパーソナルスペースの境界が客観的に把握できるのか確認した。 実験参加者は4名(男性2名,女性2名),のべ12施行である。実験は,Stop-Distance法を用いた。パーソナルスペースを決定した後,実験参加者の指示した境界から3歩後退した位置に接近者が立ち,パーソナルスペースの測定と同じ手順で参加者に近づく時のストレス反応をリアルタイムに測定した。ストレス反応は,参加者に装着した心電計による心拍と,ビデオ録画による画像によって分析された。 心拍の分析では,パーソナルスペース境界の前後10秒間のHR,CvRR,HF,LF/HFの平均値を算出した。瞬目回数は,心拍と同じ時間帯の画像からカウントした。統計解析は,Wilcox符号付き順位検定を用い,有意差を5%未満とした。 心拍変動は,境界前後のHR(pre95.6 beat/min ,post94.3 beat/min),CvRR(pre9.1%,post8.4%),HF(pre90.2ms,post69.2ms),LF/HF(pre10.8,post14.6)において,すべての項目で有意差が認められた(p<.05)。境界前後の平均瞬目回数は,pre3回(SD=2.1),post6.8(SD=5.0)であった。境界後では前と比較して瞬目回数が有意に増加していた(p<.01)。 以上の結果から,接近者が実験参加者のパーソナルスペースに侵入する際には,交感神経活動が亢進し,瞬目回数も増加することがわかった。特に接近による瞬きの増加は,接近者が相手の感情を理解するために注目する表情のポイントになると考えられた。一方,心拍変動も侵入する際に増加する結果であったが,境界前後の10秒間の比較であり,1区間(2s)の変動幅も小さいため,パーソナルスペースの境界を客観的に示すまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度はスキル学習の評価をするための基準をパイロットスタディによって設定することはできたが,対象となる学生の夏季休暇中までに実施することができず,スキル学習の評価までの目標達成には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,スキル学習の効果について,実験法を用いて検証する。 専門基礎科目を修得していない1年生30名を対象に,議事クライエントと援助者を設定しし,同調性・共振性の評価,共感性と感情覚知の評価を行い,コミュニケーションスキル学習の効果を検証する。 スキル学習:30名を対象に,コミュニケーションスキルとして,ミラーリング,感情の投げ返し,感情モニタリングなどを,2時間程度訓練する。身体感覚のメタ認知言語化は,不快な感情を惹起する映像を視聴後,自分自身に沸き起こった感情や微妙な身体感覚について言語化を行う。スキルとの組み合わせで3時間程度,2回の演習を計画している。 効果判定:①コミュニケーションの視座が自分から対象に変換できているかをパーソナルスペースを用いて確認する。つまり,接近者が疑似クライエントの観察や共感性により,相手の状況を考慮して接近できるかどうかを実証する。②同調性・共振性の評価は,人が話をしている動画を視聴し,登場人物の動作に合わせた同調性や共振性がどの程度生じるのかを確認する。動画を視聴している研究参加者を録画し,その画像から同調性と共振性の動作分析を行う。 応用実験:スキル学習の済んだ学生のうち,研究継続の希望がある10名を対象に,健康高齢者による擬似クライエントとの会話により,ナラティブ・モードを確認するための同調性・共振性,ならびに共感性と感情覚知の評価を行う。
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Causes of Carryover |
研究倫理審査に提出する期間が遅れたため,研究に協力してもらう学生の条件が満たされず,研究の実施には至らなかった。パイロットスタディは終了しているので,本年度は6月に研究倫理審査の再審査を受け,承認後,速やかにスキル学習の開始をする予定である。また,研究協力者の募集は1施設では難しいたことも予測されるため,共同研究者の了解を得て,他施設での募集を検討する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)スキル学習の介入と効果を判定する実験に必要な物品として,共感性の評価尺度(SEQ 6,000円×30名:180,000円),心電計を使用するためECGディスポ電極(50個:7,500円)を購入する。(2)今年度の成果は,日本看護科学学会(広島)で発表予定であり,共同研究者を含めて旅費を請求する。(3)その他として,論文作成における英文翻訳とネイティブチェックの費用に充てる
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Research Products
(2 results)