2012 Fiscal Year Research-status Report
乳がん患者の語りにみる手術後の苦痛の経時的変化と対処方法に関する研究
Project/Area Number |
24593307
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
城丸 瑞恵 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (90300053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幹代 東海大学, 健康科学部, 講師 (00328163)
水谷 郷美 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (40621727)
小平 朋江 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (50259298)
伊藤 武彦 和光大学, 現代人間学部, 教授 (60176344)
本間 真理 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90423780)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳がん / 手術 / 苦痛 / 対処 / 語り |
Research Abstract |
本研究は、手術をした乳がん患者の「患者自身の語り」から得られたテキストデータを質的・量的に分析して、手術後から回復期の全人的苦痛の様相と対処およびベネフィットファインディング(Benefit Finding)を明らかにすることを目的としている。2012年度は、転移進行度による語りの差を明らかにするため、ウエブサイトDIPEx‐Japan、J-POP VOICEから乳がん患者の語りに関するデータ収集を行い分析した。その結果は以下のように論文にまとめ、国外の学会でも発表を行った。また、闘病記の分析を行うために、約180冊の闘病記の収集を行い、研究メンバーで分析の枠組みについて確認した。 発表論文の概要: 本稿では、乳がん体験者における苦痛の経時的変化を検討する基礎的資料にするため、ウェブサイトを用いて転移進行度による乳がん体験者の語りの傾向を分析した。 ウェブサイトJPOP-VOICEとDIPEx Japanに収録された女性乳がん体験者のべ49人の語りを分析対象として、転移なし群、局所転移群、遠隔転移群に分類してテキストマイニング手法を用いて、名詞の頻度分析を行った。その結果、「自分」、「先生」、「人」という単語が、語り全体において上位を占め、転移なし群、局所転移群、遠隔転移群のそれぞれの語りでも上位6番目以内に出現していた。これらより、「自分」である乳がん体験者にとって、「先生」に代表される専門家と、「人」に代表される非専門家が、どの転移進行度においても「病い」や「生活」を語る上で重要な話題となっていることが明らかになり、またどの転移進行度においても心理的成長を体験できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度の目標は、①闘病記・JPOP-VOICE・DIPEx Japanからデータ収集を行う。②電子テキスト化された事例の分析であった。この2点の目標は以下のとおり達成でき、かつその成果の一部を公表できた。 ①ウェブサイトJPOP-VOICEとDIPEx Japanに収録された女性乳がん体験者のべ49人の語りをデータベース化した。また闘病記約180冊は電子化して分析可能な状態に整えた。 ②ウェブサイトJPOP-VOICEとDIPEx Japanのデータベースを用いて、転移進行度による乳がん体験者の語りの傾向について個々の事例を分析した。 ③さらに2013年度の目標である闘病記の個別分析に向けて、分析の枠組みについて研究者間で検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、約30冊の闘病記を対象に手術後から回復期の苦痛の様相と対処およびベネフィットファインディングについて個別分析を実施する。その結果をもとに約180冊の闘病記についてテキストマイニングを用いて定量的に分析を行う予定である。 その結果とウェブサイトJPOP-VOICEとDIPEx Japanのデータ分析を統合させて、乳がん患者の苦痛に対処する支援モデルを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は約200冊の闘病記を購入予定だったが絶版などの理由で約180冊の購入にとどまった。そのため申請額より使用額が少ない状況に至った。 来年度は、札幌・東京間の打ち合わせ時の交通費、分析ソフトの維持費、学会投稿準備にかかる費用などに使用する予定である。また分析過程を充実させるために研究分担者1名を増員したため、研究費の配分を行う。
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Research Products
(2 results)