2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢がん患者の終末期に関する意思決定支援プログラムの開発
Project/Area Number |
24593308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森 一恵 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10210113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 知子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (00314922)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | なし |
Research Abstract |
本研究の目的は、がん専門病院以外の施設において高齢がん患者がギアチェンジを行うことを支援する看護師が活用できる意思決定支援プログラムを立案することである。平成24年度は以下の2つの調査を行った。 1.看護師の認識と教育ニーズの調査(平成24年6月~11月) 東北地方、関東地方、九州地方で就労していて、一般病棟および介護施設・訪問看護ステーション(退院後)の看護師で研究参加の承諾が得られた15名を対象者に半構成的質問紙を用いた面接調査を行った。本調査では、高齢がん患者がギアチェンジの意思決定を行う際に、看護師が患者に対して提供している情報の内容、患者に対して行っている支援の実際や抱えている課題、患者の意思決定を支えるために必要となる教育の内容について抽出する。本調査の結果から意思決定支援プログラムに必要な要素を明らかにするために現在、得られたデータをカテゴリー化している段階で、平成25年度中の学会発表を行う予定である。 2.ギアチェンジ後にケアを行っている介護職の認識の調査(平成24年11月~平成25年3月以降継続中) ギアチェンジの意思決定を行った高齢がん患者に対して、看護師が継続的に意思決定支援を実践するための要素について明らかにする必要性が調査1を行う段階で推測された。そのため、ギアチェンジの意思決定を行った高齢がん患者のケアに従事する介護職員を対象とし、患者に対して提供している情報の内容、患者に対して行っている支援の実際や抱えている課題、患者の意思決定を支えるために必要となる教育の内容について明らかにするための調査を行っている状況である。現時点において2名の介護職員に対する上記の面接調査を既に終えており、計8名程度のデータ収集を予定している。なお、この調査結果は平成25年度中にまとめ、学会発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一段階の研究の途中で、高齢がん患者の終末期までの継続したケアを提供している施設の状況とそれに関わる看護師及び介護職員の認識を調査しておく必要性が出てきた。このため研究を追加して平成24年度11月より介護職員の認識についても調査を行っているところである。予定外の追加の調査のため調査協力施設の開拓も行いながらであるため予定よりやや遅れている。 平成24年度は看護師15名に対し、意思決定支援プログラムに必要な要素を明らかにすることを目指して半構成的面接調査を行った。現在は、面接内容を逐語記録におこしたものを研究者2名が読み込み、カテゴリー化をすすめている段階にある。なお、この面接の中では「高齢がん患者の既往歴に認知症が存在することにより、患者は今後のがん治療に関して主体的に意思決定に携わることが難しい現状がある」「高齢であっても認知症を抱えていなければ、患者の意思をくみ取って医療者と家族がケアをすすめることも多い」などの意見が数名の調査対象者から聴取できていることから、現段階では“認知症の存在”が“意思決定支援”の方向性を決める上での要素になる可能性があるのではないかと推測している状況である。 当初、平成24年度11月から開始する予定であった認知症のない患者と遺族を含む家族に対する面接調査は、病院からの転院後の介護施設などでのフィールド開拓が必要であるため追加した調査を行いながら調査対象者のフィールド開拓を併せて行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
第三段階の調査:高齢がん患者の家族のギアチェンジ時のケアニーズの調査(平成25年8月~) 東北地方、関東地方、関西地方、四国地方のがんの一般病棟および介護施設・訪問 看護ステーション(退院後)に通院中又は入院していた患者(認知症のない)、家族それぞれ約10名(患者家族の対応は問わない)を対象に、高齢がん患者がギアチェンジを行う時の意思決定支援時の情報提供および現状と課題と教育ニーズについてオープンエンドの面接調査を行う。面接で得られたデータから意思決定の支援についての内容と課題、教育ニーズについて抽出し、コード化し内容分析を行う。内容分析の結果からプログラム導入に際しての患者・家族のニードとプログラムの周知の際の重点ポイントを抽出する。倫理審査を所属大学、協力施設で得た後、調査を開始する。計画通りの進捗が困難な場合、施設の開拓を行う必要があり、その場合は研究期間が延長される可能性がある。 第四段階の調査:高齢者がん患者の意思決定支援におけるアウトカムの設定と評価指標(平成26年1月~) 看護師から得られた認識と教育ニーズ及び患者の家族から得られたケアニーズについて、先行研究の成果について統合的なレビューを行い、高齢がん患者の意思決定支援の影響要因、関連要因を抽出する。先行文献は日本の文献だけでなく欧米の文献も含めて分析・統合する。このとき、意思決定支援における介入のポイントとアウトカムについても分析し、項目と評価方法およびその指標の信頼性・妥当性についても検討する。今後の動向を追いながらアウトカムの指標になる概念・評価指標・評価方法について明らかにする。但し、平成24年度の調査の進捗状況によっては、分析が遅れることがあるが、そのときは先行研究の分析を先に並行して進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第一段階の研究のまとめと学会発表を行う。 第二段階の研究の調査の継続とデータ分析を行い、平成25年度中にまとめる。 第三段階の研究は対象者のフィールド開拓、調査依頼を慎重且つ丁寧に行う必要がある。また、調査内容がデリケートであるため調査の進捗が遅くなる可能性や何度も調査依頼が必要な場合がありデータ収集のための経費が必要になると考えられる。 第四段階の研究は、第一段階~第三段階の研究のまとめも行う必要があり、共同研究者との連絡を綿密に行うための通信費等が必要になる。加えて文献や資料収集および分析のための人件費等も必要である。これらの研究の成果は、順次、学会発表や紙上での発表を予定している。また、日本の社会構造の高齢化の進み方は他の国の今後のモデルとなる要素を含んでいるので、今後、本研究を海外で発表できるよう最終的には準備する。
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