2012 Fiscal Year Research-status Report
食道がん術後患者の食行動に関するセルフ・コントロールプログラムの開発と効果の検証
Project/Area Number |
24593318
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
深田 順子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60238441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌倉 やよい 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (00177560)
西岡 裕子 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10405227)
熊澤 友紀 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (20571730)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護学 / 食道がん / 手術療法 / 嚥下障害 / セルフ・コントロール / QOL |
Research Abstract |
【目的】食道がん術後患者の機能障害及びQOL の現状を明らかにした。 【対象】手術目的で入院した食道がん患者10名。 【方法】1.診療録から属性、治療内容、栄養状態(経口・経静脈・経腸栄養量、体重、血液生化学検査)、呼吸機能等の情報を収集した。2.食事摂取量は、術前3日間と術後の食事開始日から術後12週までの毎日、昼食前後(退院後は夕食)に体重を測定し、その増加量を自己記録用紙に記入してもらった。さらに、食後の上腹部感覚・不快症状、摂取時間、水分摂取量等を自己記録してもらった。3.嚥下障害に関する問診・身体診査を術前、術後食事開始時、退院時に行った。4.QOLについて、手術前、術後4週間にEORTC のQLQ-C30JとQLQ-OES18を用いて郵送法にて調査した。 【結果】1.対象は男性8名、平均年齢が64.2±4.3歳、術前BMIが21.0であった。全員が術前に化学療法を受け、術式は右開胸・開腹食道全摘術・胃管形成による再建が5名、胸腔・腹腔鏡下食道切除が3名であった。2.食事摂取量は、手術前が550g前後、手術後2週間目が200g前後であった。3.嚥下障害については、1名が反回神経不全麻痺があった。食後の逆流症状は術前と比較して有意に多く、反復唾液嚥下テストは術前後で変化はなかった。術後の最大呼気持続時間・最大吸気保持持続時間は、術前と比較して有意に短く、術後肺炎の発症は2名であった。4.術後4週間のGlobal health Status/QoLのraw scoreは、術前5.2と比較して3.0と低下していた。 【考察】食道がん術後患者の機能障害として食道切除による逆流、胃管形成による食事摂取量の低下、開胸などによる呼吸機能の低下が生じていた。術後の問題点を明らかにするために引き続きデータ収集を行い、プリログラム開発のための基礎データとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年3月からデータ収集を開始したが、2ヶ月で10名の手術療法を受ける食道がん患者から承諾を得ている。 予定対象者数45名からの承諾を2013年11月までに得ることができ、手術後3ヶ月までのデータが2014年2月までには得ることができると考える。 データ収集をしながらプログラム内容について検討していくため、2014年3月か4月にはプログラムの素案が開発できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度から縦断的にQOL調査を行っているため、対象者数が満たされるまで引き続き平成24年度の計画を行う(現在の進行状況から平成25年11月ごろに予定対象者数からの同意を得ることができる予定)。 加えて平成26年度にプログラムが導入できるように、平成24・25年度に実施したプログラム導入前の調査結果をふまえて、食事指導プログラムの内容を、文献検討を含めて研究代表者及び研究分担者、研究協力者で検討し作成する。 食事指導プログラムの目的は、患者が術後の機能変化を理解し回復状態を評価して、嚥下障害の種類と程度に応じた食事形態、摂取時の姿勢で、食事摂取量と食事回数を退院後に自律的に調整できるように、その判断基準を入院中に学習することである。 プログラムは「指導1:手術後に必要となる食事方法と食事摂取量の把握」、「指導2:食道の手術により変化する機能と安全に摂取できる食物形態と姿勢、食事摂取量を調整するための判断基準、逆流予防の行動」、「指導3:退院後の食品の形態と種類の選択と1日の食事回数の決め方・目標体重の設定」から構成する。このプログラムにもとづいた指導パンフレットを作成し、カラー印刷機を用いて印刷する。 食事指導プログラムを作成する資料を得るために国内学会に参加する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に研究費の未使用金が生じ、平成25年度研究費とあわせて下記の使用を計画している。 1.物品費:退院後に貸し出しする大型表示画面の50g単位体重計、食事摂取量等を記入する用紙の印刷、パンフレット用の用紙、カラー印刷機のトナー、ファイル等の文具、本等 2.旅費:データ収集のための旅費、食事指導プログラムを作成する資料を得るために国内学会(秋田市等)に参加する 3.その他:学会参加費、文献複写、QOL・食事摂取量等の記録用紙の郵送・返信用の切手
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