2013 Fiscal Year Research-status Report
セカンドオピニオンを受けたがん患者の治療の選択と決定を支える看護実践モデルの開発
Project/Area Number |
24593324
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
松井 美由紀 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (30511191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 典子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (90290478)
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Keywords | がん看護 / セカンドオピニオン / 意思決定支援 |
Research Abstract |
本研究の目的は,セカンドオピニオンを受けた乳がん患者が,最終的に治療を受けると決めるまでのプロセスとそのプロセスの影響要因を明らかにし,セカンドオピニオンを受けた乳がん患者の初期治療に対する意思決定を支援する看護実践モデルを開発することである。そのため,2段階の研究(研究1および研究2)を行う。今回は,セカンドオピニオンを経て治療法を決定した乳がん患者が,どのような出来事に直面して初期治療を受ける決意をしていくのかを明らかにすることを目的にすすめた。 今回,初期治療決定時にセカンドオピニオンを経た乳がん患者を対象にして,どのような出来事に直面し,セカンドオピニオンを受ける決意をしていくのか,さらにその後,どのような出来事に直面し治療を受けることを決意していくのかに関するデータを半構造化面接により得る。 今年度は,研究協力施設4施設において,研究対象候補者を関係部署の担当者から紹介され,研究者が研究協力依頼を行い同意を得られた対象者10名にインタビューを行いデータ収集を行った。面接時間は,平均45分であった。 現在,対象者を増やしデータ収集を行い,随時,録音もしくは得られた内容を逐語録にしてデータ化している。さらにデータ分析として1例目の全データを熟読し,概念を生成している段階である。 加えて文献検討も継続している。今回,乳がん患者に対象変更したが,セカンドオピニオンを経た乳がん患者の意思決定プロセスは明らかになっていないことから,この研究をすすめていく意義は高いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の目標達成度は,40%である。 平成24年度に引き続き,研究対象者が少なくデータ収集がすすまなかった。研究対象者が少ない理由として,初期治療決定時にセカンドオピニオン外来を受診するがん患者数が少ないことが考えられる。そのため,セカンドオピニオンという用語の定義を広くとらえ「現在診療を受けている医師とは別の医師に独立した意見を求め,アドバイスを受けること。」とした。すなわち,セカンドオピニオンを経たという条件をセカンドオピニオン外来だけでなく,セカンドオピニオン的に患者自らが最初の医師とは違う他の医師に意見を求め,相談にきた専門医からの紹介患者も含めるようにした。さらに,治療法の多様化により重要な決断を迫られるため,初期治療においてセカンドオピニオンを経た患者が多い乳がん患者を選定した。加えて,意思決定直後は,精神的な動揺があることから,精神的な動揺が少ない治療後経過している患者に対象条件を変更した。これらの対象者の条件を満たす者が多いフィールドに協力依頼をしてフィールド拡大につとめた。 その結果,25年度末までに10名の研究対象者にインタビューを行うことができた。随時,録音もしくは得られた内容を逐語録としてデータ化をすすめた。これまで収集できたデータから,データ分析をしながら概念生成をしている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度にはデータ収集が遅れていたが,平成25年度~平成26年度にかけて順調にデータ収集ができている。1か月に平均して2~3名の研究協力候補者が選定できるため,今後も研究対象者を増やし,研究対象者20~30名,平成26年8月を目標にデータの飽和化を目指す。さらに,随時,録音もしくは得られた内容を逐語録としてデータにし,集まったデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにて分析を行っていく。 データ分析の際には,スーパービジョンの秋元とともに取り組み,助言をしてもらいながら,grounded-on-dataの分析になるようにしていく。さらに平成26年度末までに意味内容が同類の概念同志を集め,カテゴリーとして,概念間の関係に基づき各カテゴリーの関係性をメモしていく。カテゴリーとしてまとまる相手のいない概念は,そのまま概念としカテゴリーとの同等の説明力を持つものとする。生成された概念やカテゴリー相互が意思決定プロセスのどの部分に位置づくのか,その過程のどのような動きの説明になるのかを検討し,相互の関係性を明らかにする。検討した関係性を包括する結果図を作成し,その関係性を簡潔に文章化してストーリーラインを作成する。分析結果の信用性は研究者間での繰り返しによる分析内容の一致性で確保していく。 その後,必要と考えられる看護実践内容を抽出し,セカンドオピニオンを受けた患者の意思決定を支える看護モデルを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由として,平成24年度~平成25年度は,対象者が少なくデータ収集ができなかった。そのためデータ収集にかかる経費およびテープ起こし等の利用も発生しなかったことが理由である。平成25年度後期から研究対象者の条件変更およびフィールド拡大に伴い,対象者が増えデータ収集ができはじめ,その経費が必要となり平成25年度の必要経費としては妥当であると考える。 次年度の研究費の使用計画は,おおよそ1年遅れと考えている。現在、データ収集のほとんどが遠方であるため,データ収集に関する交通費,テープ起こしの技術料が主な経費となる。さらに分析におけるスーパービジョンとの研究打ち合わせ等での交通費,更なる文献検討のための文献取り寄せ料金,ファイル等の文具費や印刷費などが必要となる。また,最新のがん看護研究の情報を得るため学会への出張費も必要経費とする。
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