2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24593385
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 桂子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (80143254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 淳子 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (70233377)
曽田 陽子 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (80405224)
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Keywords | 家族看護 / 看護診断名 / 事例集積 / 事例分析 |
Research Abstract |
1. 先行文献から見る[家族看護領域における看護診断活用度と課題の分析]について、日本家族看護学会学術集会で以下のとおり報告した。 【日本家族看護学会学術集会抄録集(2000年度~2012年度)に掲載された「家族に対するアセスメントから介入までの援助過程が示されている事例」を対象として、(1)アセスメント・看護診断の根拠となる情報の量的・質的妥当性、(2)アセスメント結果または看護診断・診断名の記載の有無、および妥当性、(3)介入と評価の記載の有無と妥当性、各々について事例ごとに分析した。その結果、 (1)看護診断の根拠となる情報記載の不十分な報告が多く、診断指標に基づいて情報が記載されたものは少なかった。(2)看護診断名の記載では、問題状況に関わる情報や解釈が、診断と同義で示されている報告が多く、診断の記載として抽出することは困難であった。また、診断名を用いて記載したものは非常に少なかった。(3)介入と評価の情報はほとんどの事例で記載されていたが、部分的な事象に対する評価が多かった。】今回の分析からは、国内における「看護診断」そのものの普及が不十分であることをうかがわせたが、本研究の最終目的である、家族看護領域における看護診断名の臨床現場での活用・普及の方略についての示唆を得ることができたものと考える。 2.実態調査の質問項目の検討:「NANDA看護診断」に示される家族看護関連の診断名の活用頻度、理解度の調査を行う予定であるが、先行文献の分析結果をもとに、調査の回答が適度に分布するような質問項目を準備・設定するための検討を行った。 3. 専門家会議における事例への看護診断名の適用と集積に向けての準備:家族支援専門看護師等、専門家会議における「事例への看護診断名の適用と集積に関する検討会」の準備として、検討会資料としての経験事例の収集と匿名化のための改編を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の当初計画は、1.家族看護に関連する診断名の理解度・活用度、及び、それに影響する要因の実態調査、2.専門家会議における種々の事例への看護診断名の適用と集積、および看護診断名の適合性に関する検討であった。 1.家族看護に関連する診断名の理解度・活用度、及び、それに影響する要因の実態調査については、より慎重な質問項目の設定の必要性から、その実施を延期している。すなわち、学会発表した「先行文献から見る家族看護領域における看護診断活用度と課題の分析」の結果が、家族看護領域のみならず、「看護診断」そのものの浸透度の予想以上の低さを示していたことから、一般看護師を対象とした実態調査を行った場合に、質問項目の如何によっては、単にその低さを、再度、証明するにとどまる可能性を強く感じたためである。そこで、「先行文献から見る家族看護領域における看護診断活用度と課題の分析」結果をもとに、調査の回答が適度に分布するような質問項目を準備・設定するための検討をより慎重に行った。そのため、平成25年度には実態調査を行なわなかったが、本研究の最終目標を達成するための過程としては、順調に進んでいるものと考える。 2.専門家会議における種々の事例への看護診断名の適用と集積、および看護診断名の適合性に関する検討については、家族支援専門看護師等、研究協力者からの内諾が得られ、検討会資料としての経験事例の収集と匿名化のための改編が進んでいる。事例数を増やしながら、平成26年度6月から事例検討会を開始する予定である。 以上より、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.家族看護に関連する診断名の理解度・活用度、及びそれに影響する要因の実態調査 【調査1】臨床現場における実態:(1)対象:総合病院に勤務し、看護師経験を5年以上有する看護師 約2,000名。(2)調査方法:無記名式自記式質問紙調査。(3)調査内容:①「NANDA看護診断」に示される診断名と診断指標の中から、家族看護領域に関連するものを提示し、臨床場面における実際の活用頻度とその理由について調査する。②簡略な事例に対する模擬的な診断過程についての回答を依頼し、その理解度を調査する。③関連要因として、対象要因、環境要因を変数とする。(4)分析:①~③により、診断名の活用を促進・阻害する要因についての多変量解析などを行う。【調査2】調査1の結果に関する意識:(1)対象:家族看護に関する専門的能力に優れた看護師約30名 (2)調査方法:自由記述による自記式質問紙調査によって行う。(3)調査内容:①実態(調査1)の結果を踏まえた活用の実態や関連要因に関する意見②看護診断名の活用や普及に関する意見 (4)分析:診断名の活用を促進・阻害する要因について質的に分析する。上記、2つの調査から普及に向けた方略について検討する。 2.専門家会議における種々の事例への看護診断名の適用と集積、および看護診断名の適合性に関する検討:【専門家会議の実施に関わる具体的方法】(1)専門家会議の構成:家族支援専門看護師等、家族看護に精通した研究協力員を募り、研究者を含めた専門家会議を構成する。(2)同会議の定期的開催と事例検討会の開催:家族看護領域の問題を有する種々の事例への看護診断名の適用について事例検討会を開催し、その集積を行う。また、看護診断名や診断指標と臨床現場の実情との適合性についても検討を行う。 3.上記をもとに家族看護領域で使用頻度の高い看護診断事例集を作成し、臨床現場へ配布する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主には、実態調査を行う予定であったが、調査項目等に関する慎重な検討を要するとの判断から調査を平成26年度に延期し、検討を行った。よって、それに関連する使用額が今年度に移行した。 平成25年度未使用額及び平成26年度配分額をあわせ、実態調査に関わる調査票の印刷、調査票の配布回収に関わる通信費、データ入力の人件費等に使用する予定である。また、結果の公表のための学会参加費及び旅費としても使用する予定である。さらには、事例集を作成し配布するために使用する。
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Research Products
(1 results)