2014 Fiscal Year Research-status Report
看護職におけるDV被害者の早期発見及び予防のための教育プログラムの開発
Project/Area Number |
24593388
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
泉川 孝子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (80413243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 淑恵 順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (60207652)
天田 城介 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (70328988)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | DV被害者支援 / 看護職 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
看護職によるDV被害者の早期発見、さらに地域への支援の継続によるDV被害の予防を目的とした教育プログラムの開発において、2012年度は看護実践フィールドにおけるアクションリサーチを行った。研究1.看護職が抱えるDV被害者への対応における困難感の検討として、個別インタビュー、及びグループインタビュー調査を行った。対象は、A県A(B)病院に所属する病棟・外来看護師5名、助産師4名、研究者2名。その結果、DV被害が疑わしいケースについて、病棟等カンファレンスでの事例検討、上司への報告から医療相談室や他機関への連携、また緊急時は守衛室(警備)への連絡等があがった。外来では、身体への傷、あざに気付くが本人が転倒したと返答するとその場で終わってしまう。また自殺未遂では、心理的症状が出現した場合は精神科への受診となるが、本人の訴えがなく回復後は退院となるケースが明らかになった。これらの結果から、院内における相談システムを明らかにし、支援環境・機関を整えるフローチャート(案)を作成した。研究2.教育プログラムの検証は、研究1で研究協力の同意が得られたGIメンバー、外来勤務者:2名、病棟勤務者:6名に依頼し、フローチャートを元にDV被害者支援チェックシート(DV被害の観察点およびNANDA看護診断から抜粋)を活用して、1ヶ月間の観察記録を実施したが検証の余地を残した。2013年は、介入研究を行う施設との調整がとれず研究が停滞した。 2014年は、都会型B地区C病院にて同意が得られ研究を再開し、C病院でのDV被害者の遭遇状況について9月、実態調査のため調査票を300部配布、226部(回収率75.3%)回収、遭遇48名(21.2%)。10・11月グループインタビューを実施、参加者1回7名・2回8名と研究者、12・1月に観察記録を看護職7名で実施した。データを収集、現在は分析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度:(1)研究…看護職が抱えるDV被害者への対応における困難さの検討として、看護職9名を対象に研究者2名で個別インタビューまたは、フォーカスグループインタビュー調査を行った。その研究成果をもとに、2013年度に計画予定であった、教育プログラム(アクションプラン)の検証を先行して実施した。研究1で研究協力の同意が得られた、外来勤務者:2名、病棟勤務者:6名に賛同が得られ、支援環境・機関を整えるフローチャートを作成、DV被害者支援チェックシート(DV被害の観察点、およびNANDA看護診断から抜粋)を活用して、1ヶ月間、観察記録を実施した。結果については、「看護職が抱えるDV被害者への対応における困難さの検討」として2013年第54回日本母性衛生学会で口演で報告を行った。今後は、論文としてまとめる。しかし、研究2の1ヶ月間の観察記録では、検証が不十分であったため、再度検証の余地があると考えた。そのためフィールドを捜したが、2013年度は介入できる施設との調整がとれず一時、研究が停滞した。 2014年度は、都会型B地区C病院と研究への同意が得られた。そこで前回の検証と施設が変わるため、C病院におけるDV被害者との遭遇状況の実態調査から行った。さらに看護職のンタビュー、介入研究と段階を踏んでデータを収集、現在は分析を行い2015年度第11回ICMアジア太平洋地域会議・助産学術集会等での報告を予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成2012、2013年度の研究課題におけるA地区A病院での研究の成果、及び2014年度は、新たに都会型B地区C病院で同意が得られたため、DV被害者への遭遇状況について実態調査、インタビュー、介入研究のデータを収集し分析、結果・考察を行っている。これらの研究のデータ結果から、教育プログラムを再構成する必要がある。教育プログラムの評価のポイント:①看護職におけるDV被害者の健康問題の捉え方の変化について、②DVについて得た情報量についての看護職の認識について、③DV被害者への看護職の支援で改善した点とその内容について、④看護職の支援がDV被害の予防につながった点を検討するこの件についても今後の課題としたい。これまでのデータの結果・分析等については、2015年7月のICMアジア太平洋地域会議・助産学術会議、8月の第12回国際家族看護学会等において、示説で報告を予定している。 またこの教育プログラムの評価に関しては、当初の計画から地域におけるDV被害者支援プロジェクトチーム」メンバー<予定者:2011年度(他の研究助成)、DV被害者支援機関の支援者とのFGIで研究協力が得られた支援者を中心に>と協働し、看護職のための早期発見及び予防の教育プログラムの開発、検討を行うとしており、①夫・パートナーの暴力が健康に与えている影響をアセスメントする能力、②夫・パートナーの暴力を受けている被害者(患者)を支援できる能力、③夫・パートナーの暴力を受けている被害者(患者)を関係機関と連携しながら支援する。これらの評価視点から検討することも視野に入れて、科研費期間の延長申請を行った。
|
Causes of Carryover |
看護職におけるDV被害者の早期発見及び予防のための教育プログラムの開発については、2012年度、主な研究課題がおおむね進められておりました。2013年度は、DV被害者に遭遇する看護職へのインタビュー、介入研究を行う施設との調整がとれず、当初の計画から停滞しました。2014年度は、研究が再開でき従来に近いフィールドにおいて、同意が得られた施設での実態調査、介入研究を実施しデータを収集できております。以上から、データ収集での旅費、また研究での諸費用が計画通りに執行できず繰り越されました。研究の遅れが生じ、平成2014年度における国内外での学術集会等への参加の予算、報告書の作成等として計上しておりましたが執行ができない状況となりました。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2012年度の研究課題における研究の成果、及び2014年度は、同意が得られた施設においての実態調査、インタビュー、介入研究のデータを収集しております。これらデータの結果・分析等については、2015年7月ICMアジア太平洋地域会議・助産学術集会、また関連テーマとして、8月第12回国際家族看護学会がデンマークで行われますので、示説で応募して双方とも採択されております。2014年度に国内外の旅費の予算として計上しておりました旅費等は国内外の学会での報告、さらに教育プログラムの評価、再検討、報告書の作成として使用が見込まれます。これらは、2015年に延長申請が承認されましたので次年度は予定通り使用します。
|