2013 Fiscal Year Research-status Report
行政保健師の多様なキャリアに対応したキャリア総合的な発達測定尺度の開発
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24593424
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐伯 和子 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20264541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 美千代 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (50466447)
本田 光 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (80581967)
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Keywords | 保健師 / キャリア発達 / 尺度開発 / 専門職務能力 / 職務満足 |
Research Abstract |
平成25年度は、行政機関に勤務する保健師の総合的なキャリア発達尺度の開発のため、第一次調査の実施および分析、本調査を実施した。 第一次調査の対象は、北海道内の行政機関に勤務する保健師とした。勤務する地域性と所属機関を考慮して系統抽出法で保健所を抽出し、その管内の協力の得られた保健所および自治体単位で全数調査を実施した。調査票は無記名自記式質問紙で、郵送調査を行った。調査内容は個人属性、職務経験、職業意識、実践能力とした。調査は所属大学の倫理委員会の承認を得た。 配布1,009名、回収685名、有効回答665名(有効回答率65.9%)であった。平均年齢は39.5歳、性別は女性97.0%、所属自治体は県16.2%、大学・大学院卒業は22.1%であった。新任期111名、前期中堅期96名、後期中堅期227名、ベテラン期194名であった。総合的なキャリア発達尺度の項目を検討するため、尺度項目間の関連を検討した。尺度試案60項目に天井効果とフロア効果はなかったが、項目間の相関分析で相関係数が高い9項目を削除した。因子分析は51項目を用いて実施し、その結果、43項目から成る専門職務遂行能力、アイデンティティ、職務満足の3因子を抽出した。 第一次調査の結果をもとに本調査の調査票を作成した。調査は、地域性を考慮して日本国内4県の県勤務の全保健師と系統抽出法で選定した市町村の全保健師で、合計約2,000名を対象とした。現在、無記名自記式質問紙調査を実施中である。 保健師の総合的なキャリア発達尺度は、現場で活動する保健師の現任教育や人事管理に活用されることを目的としており、現場の研究協力が得られているのは、結果への期待でもある。現場の実態に即したキャリア発達測定尺度の開発の意義は大きいといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、北海道内の行政機関に勤務する保健師に対しキャリア発達尺度開発のための一次調査を実施した。約1,000名の予定であったが、1,009名に配布することができ、685名から返信があり、有効回答665名で有効回答率65.9%であった。郵送調査としては、高い参加率であった。本研究自体への現場の保健師のキャリア発達についての関心の高さを示すものと考えることができる。 分析においては、新任期、前期中堅期、後期中堅期、ベテラン期という経験年数群別にキャリア発達の実態の集計を行い、4群を比較検討した。これらの結果は、今後、現場の現任教育の資料として有用なものになると考えられる。 さらに、平成26年3月に全国規模での本調査を実施した。調査実施に当たっては、各県の県庁の保健師業務の所管部署の責任者の了解と協力を得て、調査票を配布することができた。また、同様に、指定都市や中核市では保健師の統括部署の協力を得て、調査票を配布することができた。北海道・東北ブロック、関東・上信越ブロック、中部・近畿ブロック、中国・四国・九州プロックのそれぞれから協力が得られた。さらに、都道府県と市町村という所属の違い、大都市部、都市部、農山漁村部という行政組織の違いや活動形態の違いを含む、多様な保健師を対象とすることができた。 以上のことから、保健師の総合的なキャリア発達尺度の開発のための調査は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本調査の完了:現時点での調査の進行段階は、本調査の調査票を配布し、回収中である。今後は、調査票の最終配布数の確認とデータのクリーニングを実施し、データの確定を行う。 2.キャリア発達の実態の明確化:全国規模での保健師のキャリア発達の実態を、新任期、前期中堅期、後期中堅期、ベテラン期の経験年数群別に検討する。また、2001~2年調査との比較を行うため、倫理委員会に研究計画書を提出し、社会の変化と活動の変化による専門職務遂行能力の差異を明らかにする。 3.総合的キャリア発達尺度開発:一次調査での分析をもとに、本調査で行った尺度の信頼性と妥当性を検討する。 4.研究成果の公表:一次調査結果の分析を学会発表し、論文を国内の学会誌に投稿する。また、本調査の結果を国際学会で発表するための準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、当該年度(平成25年度)に実施した調査に関する費用の支払いが、終了していないためである。調査は料金後納制度を用いているため、3月および今後4月に回収される調査票の郵送料が次年度支払いとなる。さらに、これらのデータ入力の経費についても当該年度では終了せず、次年度の支払いとなる。 調査票の回収が終了後に、すべての郵送料金の支払いとなるため、郵便物の後納料金として使用する。さらに、調査票のデータクリーニングが終了した後、データの入力を外部機関に委託するため、そのデータ入力料金として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)