2012 Fiscal Year Research-status Report
発達障害を危惧した「気になる子ども」の早期療育・虐待予防支援に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24593432
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田村 須賀子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (50262514)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 発達障害の可能性を危惧した「気になる子ども」 / 家庭訪問援助 / 保健師の意図 / 保健師の行為 |
Research Abstract |
本研究は、乳幼児健康診査や子育て相談の場で発達障害の可能性を危惧された「気になる子ども」と育児者へ支援における、家庭訪問を中心とした個別支援の特質を明確にし、発達障害の早期対応・子ども虐待防止のための指針を得るための基礎的研究を行う。 発達障害の可能性を危惧した「気になる子ども」と育児者への、熟練保健師(原則5年以上の実務経験)による家庭訪問を中心とした個別支援過程における、①保健師の意図と②保健師の行為を調べる。 次に研究者がその記述内容を理解するため、内容確認のためにインタビューする。ここでの記述表現は、保健師が内面で考えたことをも、事実に忠実に伝えられるものでなければならない。記述データは、情報提供保健師に文章推敲・加筆修正をしてもらい、さらに研究者が確認をするというやりとりを重ねる。その後、保健師の行為と、その行為を方向づける意図の内容構成分析と、視点をあてた詳細な分析を行う。詳細な分析の視点は、申請者の実践経験と文献検討により設定し、先行研究により妥当性が確認できている。これらの視点は、今までの研究経過から修正を重ねて採用してきたもので、①看護援助を提供する者と受ける者との相互作用、②家庭・地域生活を含めた援助提供、③援助ニーズの優先度の判断と援助提供方法の選択、④対象の過去の経験に対する援助提供、⑤看護援助の他事例や保健事業・施策への反映、⑥関係職種との連携、である。 今年度は、発達障害児支援の先進地として五歳児健診を実施している自治体(長野、鳥取、栃木)で、母子保健活動を担っている保健師(4名)による支援過程を調査した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害児支援の先進地として五歳児健診を実施している自治体(長野、鳥取、栃木)で、母子保健活動を担っている保健師(10名)予定のところ、保健師(4名)による支援過程を調査した。保健師(2名)の内容分析を終え、あと保健師(2名)については分析の途中にある。 これまでにも保健師(2名)による支援過程が得られており、この内容に追加できる新たなデータも得られているが、理論的飽和も近いと考えられた。今年度はあと2~3人のデータを得る予定でいるが、保健師(4名)による支援過程の分析ののち、並行してリカート式質問紙の作成に入れると判断できた。従って、今年度中には各自治体母子保健担当者に質問紙を配布できる見込みである。 以上は当初計画どおりの進捗状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) 発達障害の可能性を危惧した「気になる子ども」と育児者への家庭訪問援助の方法の調査 今年度はあと保健師(2~3名)による支援過程を調査する。 (2) 家庭訪問を中心とした個別支援による、発達障害の早期対応・子ども虐待防止のための指針を検討と案の作成 保健師の行為と、その行為を方向づける意図の分析で、家庭訪問を中心とした個別支援の性質を概観して取り出し、有効な看護援助を明確にし、発達障害の早期対応・子ども虐待防止のための指針を検討する。 (3)発達障害の早期対応・子ども虐待防止のための指針の評価 最終年度において、分析結果と個別支援指針についての評価のため、全国市町村の母子保健担当者の指針案に対する認識についてリカート式質問紙調査を郵送法により実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね順調に進んだが、\23,511の繰越金が生じた。 (1)追加の調査のための旅費と謝品、データ記憶用機器購入費;国内旅費(1ヶ所×@50千円)、調査協力の保健師謝品(2人×@5千円)、ハードディスク(1個×@50千円) (2) 「家庭訪問を中心とした個別支援による発達障害の早期対応・子ども虐待防止のための指針」を検討と案の作成で、指針案を評価するための有識者謝金と旅費;有識者謝品(2人×@10千円) 、国内旅費(1ヶ所×1回×@50千円)、国外旅費オレゴン大学(1ヶ所×1回×@250千円) (3) 指針案を評価するため、リカート式質問紙調査を郵送法のための経費;調査票印刷費(1式×@150千円)、全国市町村約1,500ヶ所へ依頼・返信・礼状の通信費(1,500ヶ所×@(80+50)千円)を計上した(平成25年発送、26年回収) (4)中間報告のための学会参加費と旅費;国外学会 (1回×@50, 1ヶ所×@150千円) the 21st IUHPE World Conference on Health Promotion, Pattaya, Thailand
|
Research Products
(4 results)