2013 Fiscal Year Research-status Report
保健師基礎教育における地域看護診断の演習・実習で用いる評価ツールの開発
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24593450
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
牛尾 裕子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (00275322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩見 美抄 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (10362766)
飯野 理恵 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (40513958)
松下 光子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (60326113)
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Keywords | 保健師 / 地域看護診断 / 教育方法 / 教育評価 |
Research Abstract |
1 地域看護診断の実習・演習における学生の学び反応例の収集、教員の評価視点の分析:平成24年度から継続し、教育経験豊かな地域看護教員を対象としてインタビューを実施した。平成25年度は個別インタビュー6名とグループインタビュー1回3名のデータを追加し、計12名のデータを得た。データ分析の結果、教員は地域看護診断の学びとして、地域に関わる情報と情報、健康とその背景要因、抽出した課題と実際の保健師活動などを、学生が関連付けながら地域看護診断の思考を展開しているかどうか、それらを関連付ける能力を評価していることが明らかになった。 2 地域看護診断学び評価ツールの検討・原案作成:看護系大学における地域看護診断教育に関する国内文献の検討の結果、地域看護学教育内容としての「地域看護診断」「地区診断」の概念の明確化が必要な状況であること、教育の目標設定や評価においては多くの課題があり、効果的なツールは未開発であることを確認した。また1の結果より、地域看護診断の能力は、情報と情報を関連付けて思考し判断する、高次の知的機能であるとともに、専門職としての価値観や態度の醸成が基盤となると考えられた。そこで、1において得られた地域看護診断の演習・実習における学生の学びについての教員の評価視点をもとに、評価規準(criterion)を洗練し、これを用いてルーブリック形式のツールを開発することとした。国内における地域看護診断教育の現状を踏まえ、評価規準の作成にあたっては、多様な見方に基づき、十分に検討を重ねる必要があることから、計画最終年度の平成26年度は、開発した評価ツール原案について、実践現場の保健師や教育現場の大学教員を対象に意見調査を実施し、評価ツールのもととなる評価規準の妥当性を高めることとした。当初予定していた評価ツールの検証は、次の段階の研究で取り組むこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビューで得られたデータを基に文献検討も踏まえて、研究会議で議論を重ねることにより、教育内容としての地域看護診断能力の成り立ち・構成要素を明確にすることができた。地域看護診断の能力は、活動の対象としての地域(コミュニティ)を査定する視点や情報収集の方法などの断片的な知識・技術を覚えることで獲得できるものではなく、学習者が、それらの知識等を用いて、実際に入手した情報と情報を関連付け、思考し判断する高次の知的機能を、看護専門職としての価値観や態度を基盤に働かせることである。したがって教育活動の結果獲得できた能力を評価するためには、統合的な学習を評価するようなツールが必要であり、ルーブリックのような形態が適切であると考え、その原案となる評価規準を明らかにした。以上から、地域看護学領域の専門職育成において、地域看護診断の能力を、基礎教育においてどのように育成していくかとともに、その教育を促進する評価ツールの開発に向けて進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1 評価ツール原案完成のための推進方策:評価ツール原案となる地域看護診断教育学び評価の評価規準の妥当性を検討するため、保健師と大学教員への意見調査を実施する。研究者らが実習などで関係のある保健師に協力を求めるとともに、日本地域看護学会や日本公衆衛生学会の学術集会で、地区診断教育をテーマにワークショップを実施し、興味を持って参加した保健師や大学教員にも、調査への協力を求めていく。(平成26年7~11月実施予定) 海外の公衆衛生看護学教育における地域看護診断の実習演習教育の現状報告文献のレビューと視察により、海外の地域看護学教育における地域看護診断教育の方法と評価に関わる知見を加えて検討していく。(平成26年5月~10月) 2 ルーブリック作成のための推進方策:地区診断教育学び評価の評価規準(criterion)を作成した後に、地区診断教育のモデル学習過程を設定し、モデル評価資料を用いた評価試行ワークを研究者間で実施することにより、評価の達成基準(standard)案を作成する。これをもとに、ルーブリック原案を完成させる(平成26年12~平成27年1月予定)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
約780,000円の次年度使用額のうち、300,000円程度は、平成25年度当初より、研究成果の海外等への発信のための海外渡航費2名分として、平成26年度に繰り越す計画としていたものである。他、約44万円は、各分担研究者に配分したものであり、分担研究者ごと150,000~170,000円程度となっている。平成25年度は研究会議5回中3回をWeb会議で実施したことなどから、会議旅費の使用が低く抑えられたことや、研究成果発表等もなかったことが一つの原因と考えられる。 次年度使用となった額の一部は、研究成果の海外への発信のための海外渡航費として使用する。最終年度は分担研究者への配分額も、これまでよりも低く計画していることと、学会等での研究成果の発表や研究成果を用いたワークショップを計画していることから、計画通りの使用が見込まれる。 平成26年度助成金と合わせた使用計画は次の通りである。1地域看護診断教育学び評価ツールの評価規準の妥当性を高めるための意見調査のための、旅費・謝礼品・郵送費その他。日本地域看護学会学術集会・日本公衆衛生学会でのワークショップ実施と、これにより研究協力者(大学教員および保健師)を募集しアンケート調査を実施する。また保健師への個別インタビューも実施する。2海外地域看護学研究者との地域看護診断教育に関わる意見交換のための海外渡航旅費。3研究成果の公表のための、報告書印刷費・発送費、投稿料、校閲費など。
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Research Products
(4 results)