2015 Fiscal Year Research-status Report
地域在住女性に対する尿失禁予防・改善にむけた包括的プログラムの構築に関する研究
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24593461
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中田 晴美 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (90385469)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 尿失禁 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿失禁は、高齢者の身体的・精神的・社会的な側面に多大な影響を与えるQOL疾患である。また、要介護状態の要因となる老年症候群の1つとしてもあげられており、介護予防活動の推進が望まれる重要な健康課題である。しかし、尿失禁について言及することに対する羞恥心や、悩んでいる本人自身の諦念により、尿失禁予防対策は、行政施策として取り組まれる優先順位が極めて低い。そのため、本研究では、地域在住女性への尿失禁に関する正しい知識の普及および、尿失禁の予防・改善にむけた保健行動の定着を促す支援プログラムを開発することを目的としている。平成27年度は、効果的な介入プログラムを開発するための基礎的資料を得るため、尿失禁経験者の現状とヘルスリテラシーとの関連について先行調査を行った。都市部に在住する65歳以上高齢者362人のうち、尿失禁を経験した者は196人(35.7%)、男女で比較すると女性は158人(43.6%)と女性の方が高値であった。対象女性の尿失禁の頻度をみると、週に2~3回以上の高頻度で尿失禁がある者は73人(20.2%)であった。これまで、尿失禁があるにも関わらず医療機関を受診する者の低さが指摘されている。しかし、週に2~3回以上の高頻度の尿失禁を発症すると、医療機関の受診率が向上し、統計的にも有意差がみられた。これらのことから、地域で自立した生活している女性でも高頻度の尿失禁を経験している者が多いことが分かった。また、先行研究にて、尿失禁を発症している女性はヘルスリテラシーが低いとされているが、症状が悪化すると必要にせまられ受診行動につながることが推測された。しかし、尿失禁が高頻度になるほど、心身機能が低下し寝たきり状態のリスクが高まることも指摘されているため、早期の段階での正しい情報の提供および、尿失禁予防・改善にむけた介入を行うことの重要性が改めて示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、地域在住女性への尿失禁に関する正しい知識の普及および、尿失禁の予防・改善にむけた保健行動の定着を促す支援プログラムを開発することを目的としている。そのため、地域在住高齢女性における尿失禁の実態把握とヘルスリテラシーとの関連について検討した。しかし、研究実施期間中に介護保険制度の法改正があり、これに伴い行政組織でも業務内容の見直し・削減が行われたため、当初協力を依頼していた自治体での実施が困難となり研究遂行に時間を要した。これにより、対象者への尿失禁とヘルスリテラシーとの関連を概念化するための質的研究が計画より遅れている現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
尿失禁予防に関するヘルスリテラシーを概念化するためのグループインタビューの対象者を、新規に開拓することを前提に進めていたが、協力依頼が難しい状況にあるため、行政の尿失禁予防教室等へ参加した修了生を対象にリクルートする。なお、このグループインタビューは、平成28年度前半に実施することを目標とする。合わせて、グループインタビューに協力していただいた施設において、引き続き、地域在住女性における尿失禁予防に関するヘルスリテラシーと保健行動との関連について考察および、効果的な知識の普及方法の方策について検討するための自記式質問紙票調査協力依頼をし、実施することで研究の推進を図るようにする。
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Causes of Carryover |
研究期間中に介護予防・日常生活支援総合事業が創設され、これまで自治体で実施されてきた事業の見直し・削減により、協力を依頼していた自治体での実施が困難となり研究遂行に時間を要したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
グループインタビューの逐語録作成および質問紙調査データ入力作業補助のための補助員謝礼、質問紙調査におけるQOL尺度使用料、質問紙調査用紙印刷、調査のための研究代表者交通費、消耗品等が研究を遂行するための主な費目として使用する予定である。
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