2013 Fiscal Year Research-status Report
レジリエントなコミュニティ形成をめざして:在日ブラジル人の震災体験を踏まえた支援
Project/Area Number |
24593473
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野崎 章子 千葉大学, 看護学研究科, 講師 (90361419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 公一郎 自治医科大学, 看護学部, 教授 (00291625)
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Keywords | 在日外国人 / 多文化共生 / レジリエンス / 精神保健 / 災害 / コミュニティ / PTSD |
Research Abstract |
多文化共生をめざすわが国においては、国籍や文化を越えて、災害に対する回復力の高い、レジリエントなコミュニティを共に形成することが必須である。本研究においては、在日ブラジル人の東日本大震災以降の生活の状況や困難および心身の健康状態を明らかにする。さらに、その結果を踏まえ、レジリエントなコミュニティ形成のための当事者を主体とした支援プログラムの基礎資料とすることを目的とする。 平成24-25年度前半に於いては本研究の最初の段階として、文献検討ならびに多民族国家である米国における災害時・防災状況、そして実際の支援についての既知の情報収集を行った。 平成25年度後半に於いては、先述の情報収集を踏まえてのインタビューガイド洗練、そしてメンタルヘルス状況把握のためのツール選定ならびにツールの著作権者であるブラジル人研究者より許諾を得るなどデータ収集の準備を入念に行った。そして在日ブラジル人10名に対しインタビュー及び質問紙調査を行い、震災時発災時およびその後の生活状況、困難、対応等の体験について明らかにした。質問紙では、現在の心身の健康状況、現時点でのPTSD(心的外傷後ストレス障害)ならびに震災時を振り返ってのレトロスペクティブなASD(急性ストレス障害)状況、文化同一性、そして人口学的属性や言語の使用状況等についてデータを収集した。ここまでの研究成果については、精神医学あるいは看護学を主とする国際学会に於いて発表した。 同時に、国際交流協会職員でありかつ在日ブラジル人でもある共同研究者らと本研究の最終段階である支援プログラム実施に向けた準備を行っている。同プログラム参加者についても10名程度が積極的に参加を希望しており、予定通りの実施が見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね、計画通りの進行である。平成24-25年度前半は情報収集に予定以上の時間をかけたが、その結果、米国の状況も知ることができ、現地研究者との有益な情報交換が行えた。また国際学会にて情報収集の成果を発表した際には、海外の研究者らより質問を受けることにより、グローバルな視点により本研究の意義を再度確認することができた。平成25年度後半にはそれまでの知見を踏まえ、インタビューによる聞き取り調査および質問紙調査を実施し、在日ブラジル人の震災体験を明らかにすると同時に、最終年度である平成26年度でのプログラム実施にそなえ、参加者のリクルートならびにプログラム内容集約・洗練のための意見も聴取することができている。その結果、予定通り10名程度の参加希望者があり、プログラム内容に関する要望を反映できるように手配等の準備を進めているところである。こうしたことから、予定通り進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、これまでの文献や海外での情報、そして在日ブラジル人より得られた震災体験、災害・防災に関するニーズや精神保健状況を踏まえ、それらをいかしたコミュニティ作りのためのプログラムを実施・評価する段階である。プログラム実施にそなえ、参加者のリクルートならびに、これまでに参加希望者から得られた意見やニーズを反映するための準備を共同研究者らと行っている段階である。 春期から夏期にかけてはプログラムの実施準備、その一環としての研究倫理審査申請、その後夏期から秋期においてプログラムを実施し、以降評価を行う予定である。 成果については、その都度、海外に向けて発信する予定である。これまで国際学会において随時成果を発表してきたが、アジア/アラブ諸国、そしてブラジルの研究者らから質問を受けるなど、海外においても本研究のテーマについては関心が高いことがうかがわれる。最終的期には論文として発信して行く予定である。
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Research Products
(4 results)