2012 Fiscal Year Research-status Report
終末期がん患者の「希望を支援する目標志向型看護実践」の構造化と検証
Project/Area Number |
24593478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
片山 陽子 香川大学, 医学部, 助教 (30403778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長江 弘子 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (10265770)
越田 美穂子 香川大学, 医学部, 准教授 (30346639)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 終末期 / がん患者 / 希望 / 目標志向型実践 |
Research Abstract |
平成24年度度は、終末期がん患者の『希望:Hope』の概念と、患者の『希望を支援する目標志向型看護実践』の構造の明確化と検証(ステップ1~3)の、ステップ1:『終末期がん患者の希望』の概念の明確化と『目標志向型看護実践』の文献的検討を実施した。 概念の明確化について、研究方法はConcept Exploration(Morse,2003)を用いて行った。Concept Explorationは、文献的レビューとフィールド調査を実施し、その結果をメタ統合するプロセスで実施する。今年度は、海外文献を中心にした文献的レビューと平成24年2月に実施したカナダBC州でのフィールド調査とのメタ統合を行った結果を報告する。結果、終末期がん患者の希望(Hope)の概念は、「前向きな期待の継続」「受け継がれること」「自らの生活のコントロール感」「ケアされている実感」「身体的な快適さ」など10カテゴリーが抽出され、メタ統合において検証された。『目標志向型看護実践』は文献的検討の結果、「がんなどの慢性疾患をもつ高齢者がその人なりの希望を見い出しながら生活できること」や「終末期において、本人のみならず家族も満足が得られるためのケアのあり方」として有効であることが示唆された。一方で具体的な実践の方略がまだ見出せていない現状も確認できた。 以上のことから、患者の希望を共有し、それを支援する目標志向型看護実践は、終末期がん患者と家族へのケアのあり方として有効であると思われた。今後は、国内文献の検討やフィールド調査も追加した上でさらにメタ統合を進め、日本の終末期がん患者の希望を文化的な視点も含めて明確化すると共に、目標志向型看護実践の具体的方略の検討のステップ2へ進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度実施計画していた以下の1、2の進捗状況により評価した。 1.文献的検討と2.カナダBC州でのフィールド調査、3.その1と2を用いたメタ分析の実施については、1.文献的検討は計画していた海外文献の検討はほぼ終了した。しかし和文献(日本の文献)が少ないので更に追加し、文化的差異を明確化することが必要。その状況から、ほぼ8割は文献的レビューは完了したと判断した。 2.BC州でのフィールド調査については、科研での本研究が開始する前の3月にビクトリア島に訪問し事前に調査していた。そのため、今年度は3月のフィールド調査を基にWeb会議等でカナダの研究者と分析を進めた。これらの結果から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は24年度に実施したステップ1の結果を分析基盤として、日本における「終末期がん患者の希望を支援する目標志向型実践」の要素を抽出し、その構造を明確化することを目的に研究を推進する。国内4箇所と平成24年度は4月以降実施しなかったカナダBC州でのフィールド調査を実施し、日本における目標志向型看護実践の構造を分析する。 具体的には、方法1.国内4箇所を選定し研究趣旨に賛同が得られた訪問看護ステーションの訪問看護師各5名を対象に目標志向型看護実践の概念について調査する。データ収集方法は、対象ごとに同伴訪問し参加観察も実施する。訪問看護同伴時に、対象ごとに訪問看護での参加観察とインタビューを実施し、記録物からのデータ収集を行う。 そして、方法2.フィールド調査の結果と継続的な文献検討を基にメタ統合する。平成24年度3月はビクトリア地域でのフィールド調査を実施したため、平成25年度はカナダBC州バンクーバー地域での調査を実施して分析を進めることとする。更に、和文献および最新の英語文献を適宜追加しながら概念の文献的検討を行い、平成24年度に抽出した概念の精選を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
文献的検討に必要な図書一式(50千円)と文献整理用ファイルや調査データ記録媒体(40千円) 国内フィールド調査と研究会議開催及び研究成果発表に関する国内旅費(520千円) カナダBC州フィールド調査外国旅費(450千円) 調査実施補助人件費等(100千円) 成果発表のための英文校閲料や調査用紙印刷経費等(350千円)
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