2013 Fiscal Year Research-status Report
ケアマネジャーの経験するモラルディストレスの解明と支援プログラムの開発
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24593490
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 隆子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (10451741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 和子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (80073089)
吉田 千文 聖路加国際大学, 看護学部, 教授 (80258988)
辻村 真由子 千葉大学, 看護学研究科, 講師 (30514252)
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Keywords | モラルディストレス / ケアマネジャー / 倫理的葛藤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1.ケアマネジャーの経験するモラルディストレスの概念を明確にすること 2.それをもとに修正版「モラルディストレスを測定する質問紙」を作成すること 3.看護職を含めた多様な専門職を基盤とするケアマネジャーを支援し得る支援プログラムを再開発しその有効性を検討することである。 2年目の平成25年度は、平成24年度に実施した支援プログラムにて研究参加者が提供した事例と、グループワークの録音記録をもとに、研究メンバー全員でモラルディストレスの解明に向けた分析を行った。研究会は6月、8月、10月、12月、3月の計5回開催した。6月の研究会では、なぜ倫理的・道徳的判断(こうしなければならない、こうしたい)という考えが出てくるのか、制度の問題、立ち位置の問題、職業経験、家族の中の文化的背景で培われたビリーフなのか、モラルディストレスという苦悩がどう生じるのかを明らかにする必要があること。8月には、信念・価値観→行動抑制→苦痛な気持ちという筋道の他に、自分の信念・価値観による行動を促進するものと抑制するものがあること。事例を前にして自然にわき起こる感情認知→専門職としての信念や価値観→倫理的判断→行動抑制(達成されない)→苦痛な気持ち、とするとモラルディストレスだけが残る可能性があること。10月には、ケアマネジャーの倫理的判断が明確でなく、専門性の度合いが未熟であること。職業人としての自分と個人としての自分が混沌としていること。など議論を深めることができた。以上を踏まえモラルディストレスが出現する前のケアマネジャーが経験する倫理的葛藤を明らかにする必要があることが判明し、その概念枠組み案を作成した。12月と3月にはその概念枠組み案をもとに、グループワークで語られたケアマネジャーの語りを研究者間で分担し、さらに分析をすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の平成24年度には、まずモラルディストレスの解明をしてから、支援プログラムを実施する予定であったが、前年度に実施した支援プログラムを再度実施してほしいという要望があったため、支援プログラムを先に実施した。そのため、収集されたケアマネジャーの語りのデータが38事例に加え24事例となり、質的探索的分析に膨大な時間が必要な状況となった。鋭意分析を進めているが、モラルディストレスの概念枠組み案がようやく見えてきた段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的のうち、目的1.ケアマネジャーの経験するモラルディストレスの概念枠組み案が見えてきた。今年度は、それをもとに目的2.である修正版「モラルディストレスを測定する質問紙」を作成していきたい。質問紙の作成後、その信頼性と妥当性を検証するための調査を行いたいと考える。支援プログラムの再開発と実施、有効性の検討にはさらに時間がかかる可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額75,859円の理由は、研究分担者石垣和子の研究会参加の交通費(石川県~千葉県)を計上していたが、他の出張と重なりが生じ、交通費を本研究から支出する必要がなくなったからである。 導出したモラルディストレスの概念枠組みを参考に作成する、修正版「モラルディストレスの程度を測定する質問紙」を使用し、層化比例抽出による全国1000事業所を対象とした郵送による無記名自記式調査を実施し妥当性を検討する。そのため、謝金として資料整理のための研究補助員の雇入れ57千円(時給950円×6時間×10日分)、その他として調査用紙20千円、印刷費50千円、通信費194千円が必要である。
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Research Products
(1 results)