2012 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域の在宅ケア体制づくりを促進する看護職の機能に関する研究
Project/Area Number |
24593494
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
森 仁実 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (40326111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 直美 岐阜県立看護大学, 看護学部, 准教授 (40290035)
北山 三津子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (70161502)
原田 めぐみ 岐阜県立看護大学, 看護学部, 助教 (80448696)
種村 真衣 岐阜県立看護大学, 看護学部, 助教 (80625260)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 在宅ケア体制 / 看護職の機能 |
Research Abstract |
過疎地域における在宅ケア体制構築に係る先駆的活動として、3地域の市町村保健師から情報収集した。その内、①在宅での看取りを支えるための活動、②在宅ケアを支える資源や仕組みを創った活動について、データ分析を行っている途上である。 活動①では、市町村保健師が率先して24時間対応する体制をとり、医師、ヘルパー、訪問看護師、栄養士と協力して個別事例に対応することで、徐々に在宅で看取りができる事例が増加した。活動②は、難病患者がサービスを受けながら地域で暮らせることを核に展開した取り組みで、国保病院における難病医療システムの構築、地域の看護管理者による在宅ケア運営会議の開催など保健・医療が中心になって進めてきた。市町村保健師は、疾患や障害を抱える人々が互いの思いを表現し合う機会をつくり、患者が自分の病気を理解し、患者ができることは自分ですることを基本に据えて支援をしてきた。難病患者を支えるため、国保病院の協力を得て難病相談会を開催し、その成果を住民に返して難病の医療体制を整える必要性について人々の認識を高め、難病医療体制を整えた。他にも、訪問看護ステーションの開設、国保病院に地域医療連携室を設置することを推進してきた。地域連携室には看護管理者が配属され、社会的入院の増加を防ぐため、困難事例は在宅ケア運営会議で検討して問題解決を図っている。この会議の結果は市町村保健師が報告書を作成し、関係部門・機関に決済を回して行政の中で認められるよう工夫している。 活動①は看護職がリーダーシップを発揮して援助関係者のチーム力を高めるよう機能することで、在宅での看取りを可能にしたが、新たな資源や体制の構築には至らなかった。一方、活動②では当事者をエンパワメントし、活動が行政で認められる形にする機能が確認されたことから、在宅ケア体制の構築を図る上でこれらの機能の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象とする過疎地域の検索に時間を要した。在宅ケア体制構築に取り組んでいる過疎地域はあっても、医師のリーダーシップによって進められ、市町村保健師や診療所看護職の主体的な取り組みが確認できない事例が多かった。また、調査対象地域が遠方であることから、調査日の他に移動日が必要になり、調査実施可能日が限定された。結果、調査実施日が1地域は12月、2地域は3月となり、情報収集の時期が予定よりも遅くなった。そのため、年度内にデータ分析を完了できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、一過疎地域の看護職と共に在宅ケア体制構築をめざしてモデル的な活動を行い、この活動において看護職が果たした機能・役割を明らかにすると共に、機能・役割を発揮する際に看護職が直面した課題を整理する。 具体的には、岐阜県内の一過疎地域で活動する看護職(市町村保健師、国保立医療施設の看護職など)を調査対象者とし、研究協力が得られた看護職から、在宅ケアの開始・継続を支援する上で課題を抱えている事例について聞き取り、当該事例の課題解決に向けて継続的な検討会を実施する。検討会で共有した事例の状況や援助経過をもとに看護実践記録を作成し、この記録から、看護実践内容とその結果を取り出して、在宅ケア体制の実現・充実に係る援助の成果、成果に結びついた看護実践内容、看護職が直面した課題を分析する。また、平成24年度に情報収集した先駆的活動の分析を行い、在宅ケア体制構築を促進する看護職の機能・役割を帰納的に抽出する。 平成26年度には、先駆的活動から取り出した看護職の機能・役割と一過疎地域でモデル的に展開した活動から整理した看護職の機能・役割の内容を照合して、過疎地域の在宅ケア体制構築を促進する看護職の機能を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費が生じた理由は、調査対象地域が離島になる可能性を考慮して旅費を算出したが、実際には日帰りが可能な地域もあり、想定したほど費用がかからなかったためである。 平成25年度は、研究者が調査対象者の勤務施設へ出向き、看護職と共に事例検討会を継続的に実施する。また、平成24年度に情報収集した先駆的活動を分析するため、連携研究者を招いて会議を開催する。これらに必要な旅費、関連文献・図書を購入するために研究費を使用する予定である。
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