2013 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者と家族介護者の「理解と関係を促進する介入プログラム」の開発
Project/Area Number |
24593508
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高見 美保 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (50613204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 信江 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (50453155)
加藤 泰子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (70510866)
武林 智子 兵庫県立大学, 看護学部, 助手 (30632484)
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Keywords | 認知症高齢者 / 家族介護者 / 介護負担感 / 介護肯定感 / 関係性 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に作成した認知症高齢者と家族介護者の「理解と関係を促進する介入プログラム」簡易版(以後、簡易版プログラムとする)を3つの医療機関で実施し、効果検証を行った。 【研究協力者】:認知症と診断された65歳以上の高齢者11名とその家族介護者11名。 【研究方法】:認知症診療や看護に積極的な3つの医療機関で、簡易版プログラム(1回約1時間、2週間に1回の頻度で計4回)を実施し、介入前後での評価指標(介護肯定感、介護負担感、東大式観察評価スケール)の得点変化を、統計手法を用いて分析した。また、簡易版プログラムにおける、参加者の言動や表情等はフィールドノートで記録した。 【結果】:全般的に介護負担感の得点が低下し、介護肯定感の得点が上昇したが、統計的有意差の確認には至らなかった。しかし、高齢者の参加状況を測定する「東大式観察評価スケール」では、言語的/非言語的コミュニケーション得点が有意に上昇し、認知症高齢者が自分なりのコミュニケーション法を用いて他者と関わる行動が確認された。また、フィールドノートからは、家族が高齢者のペースに合わせながら作業する様子や、互いの「新しい一面」に感激し、たたえ合う言動も随所に見られた。 【考察】:本研究では、簡易版プログラムによる「介護負担感の軽減」,「介護肯定感の向上」の有意な変化は検証できなかった。しかし、認知症高齢者と家族介護者が関わることで互いを新たに理解し、受け止めるプロセスは確認された。「介護負担感」や「介護肯定感」に影響を与えるためには、認知症高齢者とその家族介護者毎の、困難や希望に沿ったより個別的介入が必要であると考える。そこで、最終年度は、「互いを新たに理解し、受け止めること」と介護負担感、介護肯定感の関連の詳細な分析と共に、簡易版プログラム実施方法のプロトコールや実施する専門職の教育プログラムの視座を見出すことも予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、認知症高齢者とその家族介護者の理解と関係を促進することを目的とした簡易版プログラムを作成、実施、評価することで運用性を検証し、実際的な有用性の高いプログラムを開発すること目的としている。 残り1年を残す中で、簡易版プログラムの評価結果を再検討し、有用性の高いプログラムを開発するためのプロトコール作成と教育プログラムの視座を明らかにしていく、という方向性を打ち出せたことは、概ね実施計画通りであるため、順調な進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の取り組みとして、簡易版プログラムの有用性を追及すると、明確なプロトコール作成とスタッフ教育に必要なプログラムの作成が必要であることが再確認できた。今後は、認知症高齢者と家族介護者をサポートする、専門職の教育についても視野を持ち、発展させていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
簡易版プログラム実施が2~3月と予定より遅くなったため、データ処理の一部業者依頼が次年度に持越しになったこと、物品費から購入予定をしていたモバイル用PCについては、経過報告会を開く次年度に合わせて購入することにしたため。 次年度は最終年度に該当する。データ収集を実施した医療期間への中間報告会に必要なモバイルPCや小型プロジェクター等の整備に使用する予定にしている。
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