2014 Fiscal Year Research-status Report
触法精神障害者家族に対する支援体制の確立に向けた基礎的研究
| Project/Area Number |
24593520
|
|---|
| Research Institution | Jichi Medical University |
|---|
Principal Investigator |
小池 純子 自治医科大学, 看護学部, 助教 (00617467)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲本 淳子 昭和大学, 医学部, 准教授 (20306997)
針間 博彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (30462782) [Withdrawn]
半澤 節子 自治医科大学, 看護学部, 教授 (50325677)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | 司法精神医療 / 精神科看護 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、医療観察法の指定入院医療機関と措置入院の受け入れ医療機関（各1施設づつ）において、患者の実態調査と家族へのアンケート調査を行った。
患者の実態調査について、調査期間中に要件を満たした対象者163名の調査が完了した。内訳は、医療観察法入院患者で38名、他害行為を要件として措置入院をした患者125名である。措置入院患者22名以外は、調査が完了した。結果は、性別は男性が100名（61.3％）、女性は63名（38.7％）、平均年齢は42.5歳（標準偏差15.2歳）であった。診断名は約6割が統合失調症圏で、平均入院回数3.0回（標準偏差3.3回）であった。両入院形態患者の特徴として大きな差は、入院の契機となった他害行為の種類はもちろんであるが、医療観察法入院患者において、今回の入院前の犯罪・触法歴のある者が半数以上に見られたことであった。家族による支援は、支援を見込めるか見込めないかの2群比較に差はないものの、医療観察法対象者家族のほうが消極的な支援の見込みである場合が多かった。
家族に対するアンケート調査では、医療観察法入院患者家族12名、措置入院患者家族17名の計29名の回答が得られた。回答者の平均年齢は57.4歳、男性15名、女性12名であった。患者との関係は、親が17名、兄弟姉妹が5名、配偶者が3名で、6割が事件当時に患者と同居していた。8割以上の家族が、今起きていることが未だに信じられない、なぜ自分がこんな目にあうのかと感じていた。相談相手は主に回答者の家族であり、4名は誰もいないと回答した。入院前の経験では、8割以上の家族が患者の精神症状の悪化に気付いており、患者がいつ問題を起こすかという恐怖心を覚えていた。また16名が何らかの助けを求めながら、半数が対応に不満を感じる結果となり、患者の精神症状が悪化し始めた早期の専門家による訪問を望んでいた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、調査協力者やデータ入力者を増やしたことや、調査者が調査に慣れてきたために、順調に進展したと考えられる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
家族に対するアンケートは、家族が患者のことを知られることを恐れたり、何度も調査されることや医療者に回答内容を知られることを懸念し、アンケートへの同意が得られない場合も多い。このため、家族の役に立つ研究であることを強調して説明する。また、いったん持ち帰ると回収率が下がるため、可能な範囲で依頼した時点で記載をしてもらうよう努める必要がある。
今年度は科研の最終年度であるため、郵送でのアンケート調査も行い、また新たな調査機関を1機関増やして調査を継続していく予定である。
|
| Causes of Carryover |
調査のための物品費、謝金、成果発表のための旅費として使用する必要がある。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査機関を1機関増やすため、その機関への研究協力謝金として、約30万円を要する。また、調査のための打ち合わせ等の旅費に30万、成果報告の旅費や校閲費に25万程度要する。その他、研究協力者への謝金に40万円程度を見込んでいる。
物品に関しては、図書費、プリンター代、調査に関わる送付費用が10万程度となる見込みである。
|
Research Products
(15 results)
