2012 Fiscal Year Research-status Report
Webコミュニテイの利用による訪問看護情報ネットワークの構築
Project/Area Number |
24593533
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
王 麗華 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (20438774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯山 優 埼玉学園大学, 経営学部, 教授 (10258931)
前田 浩利 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (90520908)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 訪問看護ステーション / WEBコミュニティ / 連携 / 情報 / ケア |
Research Abstract |
平成24年度は、在宅療養者へのケアの実践、在宅療養者や家族、関連職種との情報共有および連携の実態を明らかにするために、東京都(9箇所)、東北地方(5箇所)、札幌地区(8箇所)計22名の訪問看護師へのインタビュー調査を中心に研究を行った。また、これと並行して訪問看護ステーションにおけるホームページ(以下HPとする)上の情報提供の実態に関する情報開示の調査および分析を行った。このように、本研究では訪問看護の現状、ネットワークの利用や他の医療機関等との連携の実態を明らかにし、今後の調査・研究の基礎を築くことができて、大変有意義であったと言える。 インタビュー調査の結果、地域を問わずに訪問看護師は、療養者・家族の療養生活を包括的に把握し、生活そのものを重視し、他職種との協働によるケアの取組を大切に考えていることが分かった。また、老老介護の現状を目の当たりにし、介護者である家族の健康や経済的な負担、緊急時に困らないように配慮しながらケアを実践し、その家族への配慮が、療養者が苦痛なく過ごすために必要な要素であると認識していた。さらに、療養者・家族の負担を配慮し「日用品を利用したケアの道具の工夫」など、訪問看護師自らの経験を生かした実践的な取組もあった。このようなケアへの取組の姿勢から訪問看護師個々の看護観を基盤に、在宅療養者を生活者として認識し、生活に密着したケア方法に取り組んでいることが分かった。訪問看護師個々の看護観がケアに反映しているために、看護師が変わるとケアの継続性が担保されないことが予測できる。よって、継続的なケアを保障するために訪問看護には常に協働・連携が求められており、訪問看護師が確かに重視していることであった。 Webコミュニティによる訪問看護師におけるネットワークの形成や連携の重要性が理論的に明らかにできたという点で、本研究は大変有意義であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、訪問看護ステーションの地域ごとの訪問看護情報ネットワークの実態に関する情報収集を主な課題として研究活動を行った。そのため、地域別及び設置主体別に4つのカテゴリーに分け、計22か所の訪問看護ステーションでインタビュー調査を行った。当初の予定では、一つのカテゴリーにつき2か所、計8か所でのインタビューを予定していた。実際に、インタビュー協力の問い合わせをしたところ、このような研究に関心を持っている全国の訪問看護ステーションから多大な協力を得ることができ、情報収集を充実させることが可能であることが判明したため、インタビュー対象を大幅に増やし、当初予定の約3倍の調査を行った。その結果、量的項目もさることながら、質的項目に関するインタビュー調査は想定していたものよりも遥かに充実した内容となった。そして、インタビュー内容を詳細に分析した結果、訪問看護師が他職種との連携を重視していることや、生活に密着したケア方法に取り組むことが重要なこと、さらに個々の看護師の看護観がケアに反映されるため、訪問看護師間での看護観の共有が重要であることなどが明らかになった。 このようなことを踏まえると、本年度は当初収集を計画していた情報をほぼ収集することができ、さらにその内容を詳細に分析することができたため、本年度の研究目的はほぼ達成でき、次年度以降の研究目的の達成及び当初目的のWebコミュニティの構築に大いに貢献するものとなった。また、今年度の研究の結果得られた成果は、研究論文1篇、学会報告5回においてすでに公開済みであり、今後もさらに分析を進め、その成果を発表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度に行った研究の成果や収集したデータを基に、Webコミュニティ看護情報ネットワークの構築に向けて何が必要かを明らかにし、サーバー上にWebコミュニティを実装・公開するための研究を行う。内容としては、平成24年度に行ったインタビュー調査で明らかにした以下の3点、すなわち、1.訪問看護師が地域を問わずに療養者・家族の療養生活を包括的に把握し、生活そのものを重視し、他職種との協働によるケアの取組を大切に考えていること、2.介護者である家族の健康や経済的な負担、緊急時に困らないように配慮しながらケアを実践し、その家族への配慮が、療養者が苦痛なく過ごすために必要な要素であると認識していること、3.訪問看護師個々の看護観を基盤に、在宅療養者を生活者として認識し、生活に密着したケア方法に取り組んでいること、を踏まえ、自宅にいる療養者に対する継続的なケアを保障するために、訪問看護ステーションが常に協働・連携し必要な情報を共有するために訪問看護情報ネットワークに関する具体的な情報とニーズを明らかにする。 具体的には、上の成果を踏まえたアンケート調査票を作成し、日本全国の訪問看護ステーションにアンケート調査を実施する。アンケート調査は、日本訪問看護協会に所属している全国約3,000か所の訪問看護ステーションに調査票をFAXで送付し、回答を回収するという方法で行う。そして、回収した回答は統計解析ソフトを用いて分析する。最終的に、分析した結果を基に訪問看護情報ネットワークを構築する上で必要な情報やニーズを明らかにし、Webコミュニティをサーバー上に実装・公開することを目指す。 Webコミュニティは、学内ローカルのネットワークで試験運用を行って運用上の問題点やプライバシーの問題等を慎重に洗い出した上で、ドメイン名を取得し公開することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に生じた繰越金は、当初購入を予定していたパソコンよりも安価で性能が優れたパソコンが発売され、また、そのパソコンに使うソフトも、当初予定していたソフトよりも安価で性能が優れたソフトが発売され、そちらを購入した方がより有意義な研究ができると判断したため、発生したものであった。発生した繰越金は、平成25年度行う予定であるアンケート調査において、アンケート項目およびFAXの送付枚数を増やし、より充実したアンケート調査を行うために使用する計画である。
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