2013 Fiscal Year Research-status Report
介護老人保健施設入居者の終末期のQOLとリスク管理に関する看護ケアモデルの開発
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24593538
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
清水 みどり 自治医科大学, 看護学部, 講師 (50294806)
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Keywords | 後期高齢者 / 看護 / リスク管理 / QOL / 介護施設 |
Research Abstract |
平成25年度は,テーマである「後期高齢者の終末期のQOLとリスク管理に関する看護ケア」の具体例として,経口摂取と誤嚥性肺炎のリスク管理に焦点を絞り,平成24年度に収集した3施設のデータを分析しつつ,関連した文献の読み込みを行った.3施設では経口摂取と誤嚥性肺炎のリスク管理として,看護職は対象者の全身状態や覚醒状態を観察し,経口摂取可能か否かの判断をし,食事介助前の準備として,口腔内の観察と必要時は口腔ケアを行い,介助時は対象者の姿勢を整え,一口量と介助ペース,介助時間,咽せの有無に注意し,嚥下状態を確認しながら実施し,介助後は呼吸状態や痰の喀出を観察していた.高齢者の状態とリスクを家族に説明し、協力を得ていた.摂取後に吸引が必要な対象は,看護職が勤務する時間帯のみ経口摂取するなどの工夫が行われていた. しかし看護職が単独で実施することには限界があり,他職種との連携が不可欠で,特に日々の食事介助や口腔ケアを主に担い,高齢者と関わる時間が長く体調の異変に気づきやすい介護職との連携が重要であることがわかった.また介護職は,嚥下機能の低下があっても状態が安定している高齢者の食事介助には対応できるが,状態が不安定な場合は対応が難しく,介護職自身も不安を感じて看護職などに相談していることがわかった.よって,「介護施設における経口摂取と誤嚥性肺炎のリスク管理に関する看護ケア」の構成概念には,看護職が単独で行うものと,介護職を初めとする他職種との連携が含まれることがわかった. しかし看護職と,介護を初めとする他職種との連携に関する文献は少なく,摂食・嚥下障害を有する高齢者のケアに関するマニュアルやプロトコールはあっても,看護職と他職種がどのように行動し,また協力し合って安全な食事介助の実施と誤嚥性肺炎の予防をしているのか,その全体を示した報告はほとんどみられないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は,H24年に文献検討・面接ガイドを作成し,それをもとにヒアリング・参与観察を行いケアモデルの理論的枠組みを作成する予定であった.H25年度以降は作成した理論的枠組みをもとに質問紙を作成し,専門会議を経てパイロットスタディを実施,作成したケアモデルを修正し予備調査,本調査を行いモデルの信頼性・妥当性を検証する予定であった.しかし,平成24年度の予定が平成25年度にずれ込んだ上,ヒアリングの結果,経口摂取と誤嚥性肺炎のリスク管理に関する看護ケアには,看護職が単独で実施するケアだけでなく,介護職を初めとする他職種との連携が,構成概念上不可欠の要素であることがわかった.しかし看護職と他職種の連携に関する文献は少なく,摂食・嚥下障害を有する高齢者ケアにおいて,看護職と他職種がどのように行動し,また協力し合っているのか,その全体を示した報告はほとんど見られないことがわかった.看護職と他職種の連携に関する知見が少なく,構成概念を文献から抽出できないことから,平成26年度中に理論的枠組みをもとに質問紙を作成し,パイロットスタディ,予備調査,本調査を経てケアモデルを作成することは達成不可能になった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策であるが,まず平成26年度の研究の目標を,経口摂取と誤嚥性肺炎のリスク管理に関する看護ケアモデルの完成ではなく,その前段階である理論的枠組みの作成としたい.その理由はすでに述べたとおり,看護職と他職種の連携に関する文献が少なく,その全体が明らかになっていない現状では,構成概念を文献から抽出することは困難であり,まずはその領域における看護職・他職種の行動と,協力の全体を示す理論的枠組みを作成する必要があると考えたためである. 3施設の調査結果の分析および看護職・他職種の連携に関する文献検討から得られた知見をもとに,ヒアリング・参与観察の項目を修正し,6~9施設を選定して10月末頃までにヒアリング・参与観察調査を実施する.得られたデータを質的帰納的に分析し,経口摂取と誤嚥性肺炎のリスク管理に関する看護ケアの構成概念を検討する.調査結果と関連する先行研究の成果を照合し,その独自性や特徴を明確に言語化する.検討を経て確定した内容を,理念枠組みとして図式化すると共に,作成した図に従い構成概念間の関連を文章化する.データの分析および理論的枠組みの図式化と,構成概念間の関連の記述を行うさいには,内容の信用性,移転性,信憑性を確保するために,臨床家および施設ケアの専門家からの確認・助言を得ながら行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の予定が平成25年度にずれ込んだ上,ヒアリングの結果,経口摂取と誤嚥性肺炎のリスク管理に関する看護ケアには,看護職が単独で実施するケアだけでなく,介護職を初めとする他職種との連携が,構成概念上不可欠の要素であることがわかった.しかし看護職と他職種の連携に関する文献は少なく,摂食・嚥下障害を有する高齢者ケアにおいて,看護職と他職種がどのように行動し,また協力し合っているのか,その全体を示した報告はほとんど見られないことがわかった.看護職と他職種の連携に関する知見が少なく,構成概念を文献から抽出できなかったことから,質問紙調査が実施できなかったため. 経口摂取と誤嚥性肺炎のリスク管理に関する看護ケアの理論的枠組みを作成するにあたり,他職種連携に関する知見が少ないため,ヒアリング等を重ねて知見を得る必要がある.調査項目作成では,広く臨床家・専門家の助言を得るための謝金が必要になる.平成25年度からの繰り越しを,6~9施設で調査するための交通費・データ入力補助謝礼費・資料整理補助謝礼費等に使用する.データの分析および理論的枠組み作成にあたり,内容の信用性,転用性,信憑性を確保するために,臨床家及び施設ケアの専門家の確認・助言を受ける必要があるため,専門的知識の提供への謝金および通信費として計上した予算から費用をまかなう.また学会等への成果発表をおこなうため,成果発表用の交通費からまかなう.
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