2012 Fiscal Year Research-status Report
膵島移植超急性期の機械化学応答による膵島破壊シグナルのイメージングサイエンス
Project/Area Number |
24604004
|
Research Institution | Hamamatsu University |
Principal Investigator |
最上 秀夫 浜松大学, 健康プロデュース学部, 教授 (90311604)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 和夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40232912)
永山 國昭 生理学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (70011731)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 膵島移植 / カルシウムシグナル / TRPM2チャネル / 細胞死 / 血液凝固 / フィブリノーゲン |
Research Abstract |
ラットインスリン産生細胞(INS-1)に発現するTRPM2チャネルノックダウン安定細胞株(KD-INS)を作製した。全血、多血小板血漿(PRP)、フィブリノーゲン(FBG)に対するCa応答及び全血、多血小板血漿(PRP)により誘発されるINS-1細胞死を観察した。KD-INS細胞の電気生理学的検討より、TRPM2チャネルの内因性リガンドであるADP Riboseにはほとんど反応しなかったが、電位依存性Caチャネル機能は保存されていた。KD-INS細胞を用いて全血、PRP、FBGに対するKD-INS細胞のCa応答及び全血、PRPにより誘発されるINS-1細胞死を観察した。INS-1細胞においてCa応答は、全血、PRP及びFBGによって誘発された。このCa応答は、インテグリン阻害ペプチドやTRPM2チャネルの非特異的阻害薬2-APBによって阻害された。KD-INS細胞では、全血、PRP、FBGに対するCa応答は減弱していた。TRPM2チャネルを介したカルシウム(Ca)反応が膵島細胞死の責任シグナルの一つとなるどうか細胞イメージング法により検証した。多血小板血漿(PRP)により誘発される細胞死(赤)はKD-INS細胞ではほとんど惹起されず、INS細胞では多数の細胞で観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インスリン投与を必要とする、特に1型糖尿病患者にとって膵島移植は臨床的に非常に魅力的な方法であるが、その目的を達成するのは、様々な側面から困難であることがわかってきている。その最重要課題の一つは、膵島移植後に起こる超急性期の炎症反応(instant blood-mediated inflammatory reaction; IBMIR)による膵島機能の喪失を防止することである。本研究の目的は、超急性期におけるIBMIRのトリガーとなる1)門脈内血液凝固反応を介した血管内膵島破壊シグナルの解析と2)遺伝子工学的手法を用いて膵β細胞、膵ラ氏島、個体レベルで膵島の破壊防止策及び膵島移植前処理法の基礎的検討を行うことにある。これまでに「膵島移植時に全血暴露時、血小板をはじめとした血小板凝集及び血液凝固反応により、膵β細胞に発現する温度感受性及び活性酸素感受性の環境センサイオンチャネルであるTRPM2チャネルが活性化し、TRPM2チャネルを介したカルシウム(Ca)反応が膵島細胞死の責任シグナルの一つとなる。」という作業仮説をもとに実験を遂行してin vitro実験では概ね作業仮説に基づく実験成果を得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
偽膵島または膵島を用いて同様な結果が得られれば、膵島が血液と接触し、血液凝固因子フィブリノーゲン及びフィブリン網形成により膵細胞TRPM2チャネルが活性化され、TRPM2チャネル介したカルシウム応答が細胞死を惹起して膵島破壊の一因となっていることが示唆される。細胞死防止方策を検討する手段としてtPA発現INS-1細胞を用いて一時的血栓予防を試みる。KD細胞と同様に細胞死が抑制できれば、凝固反応を介した細胞死は、化学シグナル基づく細胞死をよりも力学的応答に基づく細胞死が引き起こされることを示唆していることになる。両細胞モデルを用いて本年はin vivo実験を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額 47,432に関しては実験試薬に購入に充てる予定である。
|
Research Products
(5 results)