2013 Fiscal Year Research-status Report
東北地方の観光産業の経営高度化と競争力向上に向けた実証研究
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24611017
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
村山 貴俊 東北学院大学, 経営学部, 教授 (20285654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 善之 東北学院大学, 経営学部, 教授 (00196023)
松村 尚彦 東北学院大学, 経営学部, 教授 (20337190)
折橋 伸哉 東北学院大学, 経営学部, 教授 (90364398)
松岡 孝介 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (30453351)
矢口 義教 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (30537288)
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Keywords | 観光業 / おもてなし / 旅館ホテル経営 / 競争力強化 / 経営戦略 / 東日本大震災 / 震災遺構 / 観光復興 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度の最後に課題として挙げておいた科学研究費補助金・本学経営学部共催の市民公開シンポジウムを開催した。開催日は2013年9月26日、会場は東北学院大学土樋キャンパスとした。科学研究費補助金の成果であることを広く市民に知らせるために、一般にも開放し、自由参加の形式とした。これにより、学術的知識を広く社会に還元できたと考える。 シンポジウムテーマは「大震災を超えて-旅館ホテルの危機対応と公共的機能」とし、特に昨年に科学研究費補助金による成果として出版した『おもてなしの経営学【震災編】東日本大震災下で輝いたおもてなしの心』の内容を中心に討議を行った。討議者として、第3者的な立場から上記の著作を評価してもらうため、観光業界や企業震災対応に詳しくテレビにも数多く出演されている経済ジャーナリストの内田裕子氏を招聘した。そのほか、上記著書に登場した宮城県の旅館女将5名にもご登壇いただき、震災当時の旅館の情況や復興への活動をお話しいただいた。 内田氏からは、震災直後から現場に赴いて生(なま)の情報を収集してきた我々の調査活動を高く評価いただき、また今後の宮城と東北の観光業の復興政策についても俯瞰的視野から意見をいただいた。また、女将5名を交えたパネルディスカッションでは、一般市民や学生からの質問も交え、復興半ばにある旅館ホテルの現状および今後の課題と方向性などを議論し、会場は大いに盛り上がった。 そのほか、実地調査では、とりわけ大地震を経験しながら、強い競争力を構築しつつある関西地区の観光振興組織と温泉地を訪れ、観光協会や旅館関係者に対して取材を行った。とりわけ、東北でいま問題となっている震災遺構の観光資源化や観光業連携を考える際に役立つであろう貴重な情報と知見を入手できた。そこで得られた情報や知見は、今後、東北の観光関係者に広く還元していく必要があると我々は認識している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、本科学研究補助金の補助により、過去2年間で計3冊の本を出版することができた。『おもてなしの経営学【実践編】』2012年、『おもてなしの経営学【理論編】』2012年、『おもてなしの経営学【震災編】』2013年である。特に、2012年に上梓した【実践編】【理論編】は、各3,000部(計6,000部)を出版した。しかし、2014年3月時点で早くも在庫切れとなった。そこで、一部内容を補正し、2014年6月に増刷を行うことになった。いずれの著書にも、本著作が科学研究費補助金の成果であることが明記されており、これによって科学研究費補助金の意義を広く社会に知らせることができたと考えている。 加えて、今年度の課題として挙げていた市民公開シンポジウムの実施およびそれによる研究成果の地域社会への発信と還元に関しても、2013年9月にシンポジウムを首尾良く実施することができた。これにより当初に立てた研究計画目標の大半が達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き東北の観光業に関する競争力強化と、それによる震災後の観光業復興の加速化に関して、学術的な調査と提言を行っていく。そのために、各種観光振興組織や個々の旅館・ホテルなどを積極的に訪問し、現地調査および取材を進めていきたい。合わせて、他地域との比較の中で東北の弱みの1つとして我々が認識している地域間での広域連携の可能性と有効性についても引き続き調査検討を進めていく。 またそうした現地調査を行う中で認識されるようになった新たな課題、すなわち東北における震災遺構の観光資源化に関する課題や可能性についても学術的に何らかの知見を発信していきたいと考えている。その観点から、過去に自然災害による被災とそこからの復興を経験してきた他地域(雲仙、能登、北海道)に赴き現地調査を進めていきたい。 最終年度にあたる今年度は、これまでの調査や文献研究を踏まえた報告書の編集と発刊を行う予定で、その報告結果を東北の各地方自治体や観光振興組織に対して発信することで、科学研究補助金による研究活動の意義を広く社会に訴求していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
公務、講義、在外研究などで実地調査活動に参加できなかった共同研究者が複数いたことから、金額の未使用が生じてしまった。物品については、今年度は実地調査が主であったため、学術文献を購入しなかったことから金額の未使用が生じてしまった。 他地域の観光地および観光事業者への訪問調査に力を入れると共に、既存文献研究を積極的に進めることで学術的報告書の執筆を進める。
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