2015 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的市街地の観光魅力度の向上に資する街路空間の運用指針に関する実証的研究
Project/Area Number |
24611030
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 雅 広島工業大学, 工学部, 教授 (70273464)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 観光交通 / 歩行者空間 / 歩行環境 / 歩行速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
車の通りが少なく人と車が別々に移動しやすいと考えることのできる宮島と人と車が入り混じり移動しにくいと考えることのできる高野山を事例として、観光地内において街路条件の違いにより歩行者の速度にどのように差異が生じるかを明らかにした。 異なる街路条件として、(1)歩道がなく路側帯を通行しなければならない例として高野山の小田原通り、(2)歩道があり、歩行者のみが通行できる空間が確保されている例として高野山金剛峯寺前、(3)道路幅員が3~4mと狭く、歩車共存の街路となっている例として宮島の町家通り、の3箇所を対象とし、ビデオ撮影を行った日中の8時間の状況を観測した。 その結果、高野山・小田原通りでは1日を通して北側南側に大きな差がみられないことが分かった。高野山・金剛峯寺前では、平均歩行速度が店舗のある南側とない北側で1日を通して南が遅くなり北が速いという結果になった。宮島・北向き、南向きともに1日を通して速度がほぼ一定であり、人や車の影響を受けていないことが分かった。 歩行環境の違いにより歩行者の速度に差異があるかという点では、高野山においては歩行者数が多くなることで歩行速度が遅くなっていたという特徴が見られた。歩行者は歩道があり通行する範囲が決まっている場合においては、店舗前で歩行者が立ちどまることで速度が遅くなっている。一方、歩道がない場合、歩行する範囲が狭くなっているために店舗の有無は大きく影響しない結果となった。宮島の町家通りでは幅員が4.25mあり、自動車の通行量もそれほど多くないことから歩行者同士や車両の影響を余り受けなかったと考えることができる。今後は、今回の調査よりも歩行者が多いときや車の台数が多いときなどの条件で歩行速度の差異を検討する必要がある。
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