2013 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣病発症の機序におけるステロール代謝の分子栄養学的制御
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24614018
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
横山 信治 中部大学, 応用生物学部, 教授 (10142192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呂 鋭 中部大学, 応用生物学部, 助手 (80381862)
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Keywords | ABCA1 / HDL / calpain / cholesterol |
Research Abstract |
1、栄養因子によるABCA1の活性制御の機構について。HDL産生触媒膜蛋白質であるABCA1の活性は、遺伝子発現の調節と蛋白質分解の両面から制御されている。栄養因子による遺伝子発現調節には、LXR/RXR、PPAR、SREBPなどステロール代謝に関わる転写調節因子が複雑なネットワークを形成している。一方、ABCA1蛋白質分解による活性調節はcalpainやproteosomeによっており、細胞内取込みと連動している。この機構において次の事柄を解明した。1)caveolin-1とABCA1の相互作用がABCA1の細胞内取込みに必要であること、環境因子・薬剤代謝産物であるキノン化合物によるABCA1の分解抑制・活性増加は、この相互作用を阻害するためである。2)糖化蛋白質最終産物(AGE)はproteosome によるABCA1分解を促進する。3)食品中の二価陽イオンであるカルシウム、マンガン、マグネシウムなどがcalmodulinとABCA1の相互作用を促進してそのcalpainによる分解を阻害するがHDL産生時のapoA-IによるABCA1安定化をしのぐものではないようである。 2、血漿リポ蛋白質は血管内寄生虫である日本住血吸虫の栄養因子であり、とりわけHDLからのcholesteryl esterの取り込みはその卵黄形成と授精卵のmiracidiumへの胚子形成に必要であること、CETP欠損症の巨大HDLではその機能が低下していることが分かった。この反応を担う膜蛋白質CD36RPを同定し、機能構造解析を行った。CETP欠損症では日本住血吸虫卵の肝臓に於ける異所性の胚子形成が阻害され感染抵抗性なるこのが判明した。東アジアに於けるCETP欠損症の高頻度分布についてさらに詳細な文献考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画における期待された成果とはやや異なる視点からではあるが、目的とされるHDL代謝の栄養因子による制御に関して重要な研究成果が上がっている。栄養因子によるHDL濃度の制御が、従来考えられてきた遺伝子発現制御のみならず、他の機序によっても起こりうることが示されると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1、栄養因子によるABCA1の活性制御について、1)ABCA1の分解による活性調節の機序についてcaveolin-1の関与による機構の詳細をさらに明らかにし、外来性の因子による干渉が与える影響について明らかにする、2)糖化蛋白質最終産物(AGE)のABCA1発現に対する作用の機序の詳細を明らかにする。3)食品中の二価ないし三価の陽イオンによるABCA1の発現・活性の制御について、遺伝子発現と蛋白質分解調節の両面から差に詳細に検討して行く。 2、外来性の因子によるHDLの代謝調節について、CD36関連蛋白質の役割をさらに検討して行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の実験が効率よく進み、25年度末まで於ける消耗品購入の支出が予定より少額となった。また実験補助者の家庭の事情により、当初予定された勤務日数に達しなかった。研究計画とそれに基づく試薬・器具など購入計画に大きな変更はない。 25年度に予定していた物品の購入は平成26年度前半に予定することとした。また、実験補助者の勤務日数が次年度はやや多めとなる予定である。
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[Journal Article] High-density lipoprotein of Japanese has markedly increased over the past twenty years2014
Author(s)
Shinji Yokoyama, Hirotsugu Ueshima, Takashi Miida, Masakazu Nakamura, Koki Takata, Tatsuyuki Fukukawa, Takaaki Goto, Mariko Harada-Shiba, Michitaka Sano, Kiminori Kato, Kazuhiro Matsuda
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Journal Title
J. Atheroscl. Thromb
Volume: 21
Pages: 151-160
Peer Reviewed
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[Journal Article] Validation study of homogeneous assays for HDL-cholesterol using fresh samples derived from healthy and diseased subjects2014
Author(s)
Takashi Miida, Kunihiro Nishimura, Tomonori Okamura, Satoshi Hirayama, Hirotoshi Ohmura, Hiroshi Yoshida, Yoh Miyashita, Masumi Ai, Akira Tanaka, Hiroyuki Sumino, Masami Murakami, Ikuo Inoue, Yuzo Kayamori, Masakazu Nakamura, Tsutomu Nobori, Yukihisa Miyazawa, Tamio Teramoto, Shinji Yokoyama
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Journal Title
Atherosclerosis
Volume: 233
Pages: 253-259
DOI
Peer Reviewed
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