2012 Fiscal Year Research-status Report
障害者ケアの包括的な保障のために―ケアワーカーのウェルビーイング支援システム開発
Project/Area Number |
24616001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武田 文 筑波大学, 体育系, 教授 (80216902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田宮 菜奈子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20236748)
茨木 尚子 明治学院大学, 社会学部, 教授 (50269354)
水上 勝義 筑波大学, 体育系, 教授 (20229686)
千綿 かおる 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60442191)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体障害者施設 / ケアワーカー / 抑うつ / 仕事満足感 / 職業性ストレス / ソーシャルサポート |
Research Abstract |
今年度は、身体障害者ケアワーカーの抑うつ・仕事満足感に関連する心理社会的要因を検討した。関東地方9カ所の身体障害者施設職員(自立支援法による障害者支援施設(旧身体障害者療護施設、通所サービス併設含む)の職員)457名を対象とする無記名自記式質問紙調査より回収した313名のうち、完全な回答を得た250名(有効回答率54.7%)を分析対象とした。調査項目は、抑うつ(SDS)、仕事満足感、個人要因(属性:年齢、性、 保有資格)、職業性ストレス(日常業務ストレス(相談支援・マネジメント業務、専門的生活介護業務、社会参加支援業務に関する29項目)、量的負担、役割葛藤、役割曖昧)、緩衝要因(ソーシャルサポート:上司、同僚、家族・友人)である。抑うつおよび仕事満足感の関連要因について、それぞれ階層的重回帰分析により検討した結果、以下の知見を得た。 1.抑うつの要因:年齢が若い、介護支援専門員の資格がない、体位・姿勢保持業務あるいは入居者の個人的な趣味・レクリエーション活動を支援する業務にストレスを感じる、役割曖昧感が高い、役割葛藤感が高い、上司、同僚、家族・友人の各サポートが少ないことが、それぞれ独立的に抑うつを高めていた。また、家族・友人のサポートは入居者の個人的な趣味・レクリエーション活動を支援する業務のストレッサーを緩衝しており、ソーシャルサポートの中でも特に重要であることが示された。 2.仕事満足感の関連要因:女性、ヘルパー資格がある、コミュニケーションに関するストレッサーが少ない、役割曖昧感が少ない、上司からのサポートが多いことが、それぞれ独立的に仕事満足感を高めていた。 本知見から、身体障害者ケアワーカーの抑うつおよび仕事満足感に関連する心理社会的要因が明らかとなり、抑うつの低減・仕事満足感の増大にむけた具体的アプローチを検討するうえで重要な手がかりを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画にあげた【1】「身体障害者ケアワーカーに関する実証研究」をすべて予定通り遂行し、研究目的達成にむけた第一段階としての研究成果をあげることができた。 また、平成25年度の計画である【2】「知的障害者ケアワーカーに関する実証研究」についても、すでに本年度に調査を一部実施済みで、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに、25年度は知的障害者ケアワーカーに関する実証検討を行う。関東地方の知的障害者施設での調査を予定しているが、すでに本年度に5カ所で調査実施済みであり、残る施設での調査も早い時期に実施する。データ収集が完了次第、本年度と同じ手続きで、知的障害者施設職員の抑うつ・仕事満足感に関連する心理社会的要因を分析する。また、本年度に実施した身体障害者ケアワーカーの研究成果について(すでに一部公表済み)、未公表部分を25年度内にすべて公表する。 26年度には、24,25年度の知見を踏まえてケアワーカーのウェルビーイング支援方策を包括的に検討し、研究計画どおりに遂行する見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(52,606円)については、3月に支出したもので、4月時点で執行は完了している。
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Research Products
(4 results)