2012 Fiscal Year Research-status Report
メディア表現によるワークショップ型ケアの理論と実践
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24616020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
小川 明子 愛知淑徳大学, メディアプロデュース学部, 准教授 (00351156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝尻 真也 目白大学, 社会学部, 講師 (50584215)
近藤 尚 中部大学, 全学共通教育部, 准教授 (50594008)
土屋 祐子 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (80458942)
伊藤 昌亮 愛知淑徳大学, メディアプロデュース学部, 准教授 (80548769)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 英国 |
Research Abstract |
初年度となる当該年度は,これまで私たちが開発してきたデジタル・ストーリーテリングのプログラムを踏襲しつつ、2回のワークショップを実施した。1回目は前年度に東北(福島・いわき/宮城・名取)で行ったワークショップ参加者を対象に,半年-一年前の活動の振り返りを共同で行うと同時に,現在の心境についてより簡易な方法で新たな作品を作ってもらうワークショップを行った。震災後2年が経つタイミングで、学生参加者たちは、震災のことよりも自分自身の今後についての悩みを語る作品となり,なぜそうなったのか、両義性について被災地内外のメンバー内で議論した。障がいを持つ人びととその家族の間で行われた2回目のワークショップからは、1回目の経験を経て,彼らの作風が生まれてきた他,日常において彼らの経験をひとに伝えるという新たな視点が生まれていた点が注目される。なお、これらの作品はすべてウェブサイトに掲載されている他,地元ケーブルテレビCCNETで2013年3月19日から25日まで、一日3回,計21回放送された。 一方で,世界におけるデジタル・ストーリーテリングの展開の視察として、Patient Voicesを初め、ケア領域での応用実践についての調査を行った。Patient Voicesでの医療教育への応用,グラモーガン大学における患者の経験を同じ病いを経験した人びとや他者に伝えるためにデジタル・ストーリーテリングを使う実践などについての状況をヒアリングした。中心となっているP.ハーディやT.サムナー、そしてK.ルイスなどと,各実践のワークショップ内容や医療領域との連携方法、そこから得られる成果などについて直接に話を聞いた他、関連資料の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英国での先進事例視察、2回の実践と,ほぼ順調に進んでいるが、福祉現場ではワークショップが行えたものの(障がいを持つ方,家族との二回目の実践)、医療現場では実践をすることができなかった。ただし、今後も医療現場そのものと組むことは現場の忙しさや閉鎖性もあり、困難が予想される。その可能性を探りながらも、まずは福祉現場での実践を着実なものとすることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目(25年度)は計画通り、理論編としては、医療、福祉理論とメディア論とを接続する。またヘルス・コミュニケーション研究のレビューを行い、それらの議論をメディア・コミュニケーションという視座からどのように接続していくかを考察してゆく。 一方、実践では、マージナルな想いに対してコミュニティに共感の輪を広げるようなワークショップモデルを展開したい。ひとつは被災地のコミュニティでの実践がほぼ決定している。石巻の被災地で活動する団体から,徐々に仮設住宅などで暮らす人びとへと広げていければと考えているが、具体的な道筋は、今後、現地の人びとと相談しながら見いだしていく予定である。もう一つは広島のコミュニティ・マンションのような施設で、お年寄りを孤立させない取りくみとして展開したい。最後に名古屋では,農家,高齢者,イスラム系住民,外国人労働者,子育て中の母親、障がいを持つ方など、多様な背景を持った人びとが一同に会して互いの想いを聞きあい、共感を育むようなワークショップ・プログラムを実践する予定である。以上、25年度は3つのモデルを展開し、検討していきたい。 一方、すでに24年度までの成果は、トルコ・アンカラでの第五回デジタル・ストーリーテリング会議で発表した。来年度の発表、それから本の執筆等についても徐々に考えてゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度(H24年度)の予算において、ワークショップ実践をめぐる人件費が想定より少なくなったため、H25年度はその分(1回分)ワークショップを予定よりも1回増やして3回の実践を行うことにする。
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Research Products
(3 results)