2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢者介護に関わる人材の資質向上プログラムの作成と効果測定にかかる研究
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24616023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
備酒 伸彦 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (80411883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川越 雅弘 国立社会保障・人口問題研究所, その他部局等, 研究員 (00435778)
山本 大誠 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 講師 (10411886)
村尾 浩 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (30298773)
浜渦 辰二 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70218527)
竹之内 裕文 静岡大学, その他の研究科, 教授 (90374876)
竹内 さをり 甲南女子大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90454727)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢者ケア / 介護 / 教育 |
Research Abstract |
高齢者ケア機能の向上を企図して、高齢者ケアに携わる人材に提供すべき系統的な教育内容を検討するために次のような研究を行った。 【教育プログラムの実施】高齢者ケア論・演習30コマ、高齢者ケア実技10コマ、認知症ケア論10コマ、生活環境・ユニバーサルデザイン概論15コマ、一般教養(哲学・死生学)10コマ、ケア実務者等による講義10コマ、総実施時間90分×85コマ127.5時間という教育プログラムの実施要項を策定し、兵庫県老人福祉事業協会、神戸市老人福祉施設連盟、新聞広告を通じて兵庫県内のケア事業所に案内した。応募のあった15名を対象として、神戸学院大学の教室・実習室において、土曜・日曜・祝祭日の昼間に教育プログラムを実施した。15名の受講者の通年を通じた出席率は85%であった。また、社会人である受講者に配慮し、欠席者はビデオで履修できるようにした結果、それを含む出席率は94%で、中途の履修放棄者は無かった。【プログラム検討会議の実施】年度内に検討会を3回実施した(ケア学研究者2名、医学研究者2名、哲学研究者2名、ケア実務者5名)。第1回会議では研究初年度の教育内容について検討した。第2回会議では教育プログラムの進捗を確認し内容の一部手直しを行った。第3回会議では年度内の教育プログラムの省みて次年度プログラムを検討し、合わせて効果判定の方法について検討した。【北欧のケア人材教育の調査】分担研究者1名がベルゲン大学(ノルウェー)に1ヶ月滞在し、ここを拠点として、北欧におけるケア人材教育について調査した。【プログラムの効果検証】効果検証については、通年プログラム終了時に受講者アンケートを行い「教育プログラムにより学んだこと」「日常の業務について考え方が変わったこと」を主に聴取した。現在は、教育プログラムを受講したことにより、業務の中で起こった変化について追跡調査を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、研究当初に計画した、教育プログラムの実施、効果検証はおおむね順調に進展している。通年プログラム終了時の受講者からの聴取によると、受講者全員が「偏りの無い、広い視野でケアを考える必要があること」「教育背景の異なる従事者間での意見交換の重要性とその方法」について学んだという内容を含む回答をした。このことは本研究の意図することで、実施した教育プログラムはおおむね良好であると判断できる。一方で、受講者との討議の中で「死に対する理解」「看取りりに関する理解と方策」について、現在のケア環境では適切な学習機会がなく、これがケア従事者の疲弊を招いているという意見、初年度の本教育プログラムにもこの内容が希薄であったことが指摘された。 これらに加えて、北欧におけるケア人材教育に関する調査から、統合教育の手法がケア人材教育においても有効であると判断した。 このような内容を次年度・最終年度に具体的に活かす方法を検討し、次年度の教育プログラムを策定したことから、区分はおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要・達成度で述べたように、次年度・最終年度に向けてより有為な教育プログラムを得るべく研究を推進する。2013年度に予定している内容は次のとおりである。 【2013年度に実施する教育プログラム】2012年度と同じ内容で実施するものは、高齢者ケア論・演習30コマ、高齢者ケア実技10コマ、認知症ケア論10コマ、一般教養(哲学・死生学)10コマ、ケア実務者等による講義14コマである。2012年度の研究成果を踏まえ追加するものが、看取りに関するコース18コマで、哲学者・死生学者からの講義・哲学者・死生学者との対話を通じた考察を行う。総実施時間90分×82コマ123時間として、これに加えて、フリーディスカッションの機会を設けることとする。 【プログラム検討会議の実施】2013年度内に3回の検討会を予定している。参加者は、従前のケア学研究者2名、医学研究者2名、哲学研究者2名、ケア実務者5名に加えて、2012年度の教育プログラム受講者15名を予定している。 【北欧のケア人材教育の調査】2012年度同様に分担研究者1名がベルゲン大学(ノルウェー)に1ヶ月滞在し、ここを拠点として、北欧におけるケア人材教育について調査する。本研究における海外調査は本年度を最後とする。 【プログラムの効果検証】2012年度受講者の追跡調査に加え、2013年度受講者に対しても聞き取り調査、追跡調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教育プログラム実施に係る軽費:物品費400,000円、謝金100,000円、旅費100,0000円 北欧のケア人材教育に調査に係る軽費:旅費300,000円 検討会議・効果判定にに係る軽費:旅費500,000円 以上
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