2014 Fiscal Year Annual Research Report
北九州の真宗を例とした仏教近代化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24617018
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
川邉 雄大 二松學舍大學, 文学部, その他 (10468720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 秀嗣 二松學舍大學, 文学部, その他 (30445978)
町 泉寿郎 二松學舍大學, 文学部, 教授 (40301733)
中村 聡 玉川大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80352722)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文化学 / 仏教近代化 / 北九州 / 真宗 / 咸宜園 / 海外布教 / 漢学 / 真宗法難事件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、明治期の仏教教団とりわけ浄土真宗(東西本願寺)による布教活動等に表れる対外的活動と、それと相即の関係にあった宗教内部の革新の両面に着目し、宗教や教学が新時代に対応し再編された日本近代化の過程を、広く文化学の見地から捉え直そうとするものである。具体的には、北九州における東西本願寺に地域と宗派を限定して、その特徴と意義について、特に下記の4点から考察を加えた。Ⅰ北九州の真宗が持つ地理的・歴史的・政治的な特徴。Ⅱ真宗学寮と漢学塾の関係に着目した、仏教と漢学の関係。Ⅲ幕末維新期の排耶論に着目した、仏教近代化の過程。Ⅳ海外布教活動が文化交流と仏教近代化に果たした意義。 Ⅰについては、西本願寺の鎮西別院や、明治初期に琉球で発生した真宗法難事件、明治32年の宗教法案などを例として、北九州の地理的特性や北九州出身の真宗僧が果たした役割を、明らかにした。Ⅱについては、漢学塾・咸宜園門下生の中に真宗僧が多かったという点に着目し、現地調査によって得られた資料などをもとに検討することができた。彼等の多くは幕末明治期に排耶活動や海外布教を行っており、当時真宗僧が排耶活動や海外布教に大きな役割を果たしたことを確認した。Ⅲについては、福澤諭吉と東本願寺との関係について明らかにし、福澤がいかにキリスト教と対抗していったかという点について明らかにした。また、幕末維新期に数多く刊行された排耶書の中で「防耶訓」の意義などについて明らかにした。Ⅳについては、明治初期に東本願寺が行った琉球および清国布教の実態や、当時の東本願寺と明治新政府要人との関係について、各地の寺院等で収集した資料をもとに検討した。 研究遂行に当たっては、各自が現地調査および文献調査等を実施し、随時研究会等を主催し、研究成果を発表するとともに、関係資料の読み合わせ会を行った。科研期間中に得られた成果を収録した研究成果報告書を刊行した。
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Research Products
(12 results)