2014 Fiscal Year Annual Research Report
キラル分子認識化学を活用した質量分析法による高感度キラリティー解析
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24619015
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
靜間 基博 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 生物・生活材料研究部, 研究主任 (40416318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木曽 太郎 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 生物・生活材料研究部, 研究主任 (90416313)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 質量分析 / 立体構造 / 光学異性 / ホスト-ゲスト化学 / 同位体標識 / 錯安定度係数決定 / 絶対配置決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、質量分析法のみで分析物の立体構造、特に光学異性体に関する情報を得るための手法を確立することを目的としている。そのために、光学活性な分析物の光学異性体に対して異なる親和性を有する光学活性ホスト化合物を活用する。光学異性体は分子量が同じであるので、質量分析で区別できない。そこで、光学活性ホストの一方の光学異性体を重水素標識することで質量分析で区別されるようにする。それと対となる光学異性ホストとの当モル混合物に分析物(光学活性ゲスト)を加えて、質量分析を行う。生成する2つのホスト-ゲスト錯イオンの挙動を調べて、本研究目的を達成する。 最終年度の本年度では、これまでに合成した光学活性ホストを用いて高速原子衝撃質量分析法で錯イオン挙動を調べた。ホスト濃度を一定にしてゲスト濃度を変えた液体マトリクス溶液を測定したところ、濃度変化に連動して錯イオンピーク強度比が変化した。この変化は溶液中の3成分錯形成平衡系の関係式に適合し、質量分析法で溶液中の平衡定数を決定できることが判明した。この手法では、2つの錯安定度定数を同時に決定できる。また、光学活性ホストとしてクラウンエーテル型およびポタンド型を選択し、対する光学活性ゲストとして、さまざまなアミノ酸エステルアンモニウムイオンを選択した。そして、それらのゲストに対するホストの光学異性識別能を、高速原子衝撃質量分析法で評価した。一方、ゲストの側鎖の空間占有容積を、DFT計算により計算した。また、ステレオセンターからの距離による空間占有容積を算出して、ゲストの立体パラメーターとした。そのパラメーターと質量分析の結果との相関関係を、多変量解析法で調べたところ、比較的良い相関性が得られた。今回用いた系に関しては、質量分析で、光学活性ゲストの絶対構造を予測することができることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)