2012 Fiscal Year Research-status Report
新規硬組織モデルを用いた微小重力・過重力下での骨吸収及び骨形成の機構解析
Project/Area Number |
24620004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 信雄 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (60242476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 淳彦 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (70183910)
池亀 美華 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70282986)
北村 敬一郎 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80283117)
大森 克徳 亜細亜大学, 経済学部, 教授 (20358534)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 加重力応答 / 微小重力応答 / 魚のウロコ / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
平成24年度は、①静的な加重力実験を宇宙実験と同じタイムコースで実施し、②遠心機による静的な加重力とバイブレーションによる動的な加重力応答を比較した。以下に成果を示す。 ①宇宙実験では、低温(4℃)で約1週間保管して、その後宇宙空間において、22℃で4日培養した。そこで同じタイムコースでキンギョのウロコを低温保管して、その後22℃で4日間、遠心機による加重力(3G)下で培養した。その結果、骨芽細胞のマーカー(オステオカルシン)の発現量は上昇し、破骨細胞のマーカー(酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ)の発現量は低下した。宇宙(微小重力)下では、骨吸収が進行したのに対して、加重力下では骨形成が促進する方向で変化していることが判明した。 ②遠心機による静的な加重力とバイブレーションによる動的な加重力の比較は、ゲノム解析が終了しているゼブラフィッシュを用いて行った。本研究では、骨芽細胞と破骨細胞の相互作用に関与する遺伝子(RANK,OPG及びSemaphorin 4D)の発現を解析した。その結果、動的及び静的な加重力では、骨芽細胞で発現して破骨細胞を活性化する遺伝子(RANKL)の発現は、それを抑制する遺伝子(OPG)よりも有意に低いことがわかった。しかし、破骨細胞で発現して骨芽細胞の活性を低下させる遺伝子(Semaphorin 4D)の発現は、動的な加重力では変化しなかったのに対し、静的な加重力では有意に上昇していた。したがって、加重力でも骨形成を促進につながるのは、動的な加重力である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請において、平成24年度は、静的な遠心機を用いた加重力と動的な加速度重力の応答をin vitro培養システムで調べ、加重力と宇宙実験(微小重力)の結果と比較するという計画を立てた。その実施計画通りに実験が進行して、研究実績の概要に示すように、成果を上げることができた。 平成24年度の成果として、加重力でも遠心機による静的な加重力とバイブレーションによる動的な加重力とを比較すると、骨芽細胞と破骨細胞の相互作用に関与する遺伝子の発現は、一部異なっており、そのため異なる結果がえられた。平成25年度は、これらのことも考慮して、加重力と微小重力の応答を解析していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が2010年に実施した宇宙実験では、宇宙空間で遠心機を回して1G 環境を作り、微小重力と軌道上1G を比較することができた。そこでリアルタイムPCR を用いた遺伝子発現解析を行った結果、骨芽細胞で作られて破骨細胞の活性を上昇させる遺伝子(RANKL)の発現が微小重力(宇宙空間)で有意に上昇していた。しかし、2010年に実施した宇宙実験では、細かいタイムコースをとることはできなかった。 したがって平成25年度は、宇宙実験では取ることができなかった細かいタイムコースを3 次元クリノスタットを用いた実験で実施する。予備的な実験では、ウロコは3次元クリノスタットによる擬似微小重力に応答して骨芽細胞の細胞活性が低下して、破骨細胞の細胞活性が上昇するという結果を得ている。そこで3次元クリノスタットによる擬似微小重力下でウロコを培養後、骨芽細胞及び破骨細胞のマーカーの解析を行い、昨年度得られた加重力のデータと比較する。さらにマウスの骨芽細胞の培養株においても3次元クリノスタットによる擬似微小重力下で培養して、ウロコで得られたデータの再現性を確認する。 以上のことから、平成25年度は擬似微小重力の応答を遺伝子レベルで解析して、昨年度の加重力応答と比較して、骨の重力応答の機構解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で使用する手法は全て開発済であり、購入すべき備品もない。そこで、キットや消耗品を中心に購入して研究を遂行していく予定である。なお、成果発表用の旅費も計上して、学会発表を行う予定である。
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Research Products
(9 results)