2012 Fiscal Year Research-status Report
宇宙環境(微小重力)が細菌間の遺伝子伝播に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
24620006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
一條 知昭 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (20513899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 進康 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (20252702)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宇宙生命科学 / 細菌間遺伝子伝播 / 環境微生物学 |
Research Abstract |
細菌の進化や環境適応には、外来遺伝子の取り込みが大きく関与している。宇宙環境において細菌間の遺伝子伝播頻度が上昇する場合、病原遺伝子や抗生物質耐性遺伝子が予測を超えて伝播する可能性が生じ、バイオハザードの要因となる。本研究では、微小重力シミュレーション装置を用いて、微小重力下における細菌の遺伝子伝播頻度や伝播の範囲、伝播に影響を及ぼす因子について、微生物生態学的手法を用いて考究する。 平成24年度においては、微小重力下において伝播した遺伝子の消長を明らかとするため、微小重力シミュレーション装置を使用し、Escherichia coli HB101株を受容菌、プラスミドpGFPuvをドナーとした形質転換実験系を構築したうえで、通常重力下と疑似微小重力下での遺伝子伝播頻度を測定した。遺伝子伝播頻度はpGFPuv上の緑色蛍光蛋白質遺伝子(gfp遺伝子)が発現した細菌数、また、選択培地上に形成したアンピシリン耐性遺伝子(ampr遺伝子)が発現した細菌数にもとづいて算出した。 その結果、疑似微小重力下で一定期間インキュベーションしたE. coli HB101株に対し形質転換を行った場合、またE. coli HB101株をpGFPuvとともに混合し疑似微小重力下で形質転換実験を行った場合、いずれにおいてもコントロールである通常重力下での形質転換実験において得られた形質転換頻度との差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小重力の遺伝子伝播に与える影響を考察するにあたり、モデル細菌として大腸菌、プラスミドとしてpGFPuvを使用しての遺伝子伝播頻度の測定を平成24年度中に終えることができていることから、おおむね順調に研究は進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
・国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」から分離した細菌を受容菌とした遺伝子伝播実験 これまでにJAXAとの共同研究「MICROBE」において国際宇宙ステーションから、4種の細菌を分離している。これら国際宇宙ステーションからの分離株を受容菌として形質転換実験を進め、遺伝子伝播頻度や遺伝子伝播に影響する要因の細菌種による違いを明らかにする。 ・環境因子が微小重力下での遺伝子伝播に与える影響 照度、有機物濃度などを変えて、遺伝子伝播実験を行い、各環境因子が微小重力下での遺伝子伝播頻度に与える影響を明らかにする。受容菌およびプラスミドには、大腸菌、国際宇宙ステーションからの分離株、プラスミドpGFPuvを使用し、緑色蛍光蛋白質の発現や、アンピシリン耐性遺伝子の発現を指標とした選択培養法で、外来遺伝子の発現頻度を測定し、環境因子が微小重力下での遺伝子伝播に与える影響を考察する。また、必要に応じて細胞内遺伝子増幅法を使用したシングルセルレベルでの遺伝子伝播頻度も測定する。 ・国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」内で宇宙実験を行うための予備検討 宇宙環境が細菌間の遺伝子伝播に与える影響を実証する場合、宇宙居住環境における遺伝子伝播実験が求められる。「きぼう」内で実験を完結することは、時間や設備等の制約が生じるため、国際宇宙ステーション内、および地上で行う実験を分離する必要がある。すなわち、遺伝子伝播実験ならびにサンプルの固定操作を「きぼう」内で、それ以降の操作を地上で行うことを想定している。効率的な実験を進めるためには、実験装置やサンプル処理法(固定法)などの検討が重要となることから、将来の宇宙実験に向けた予備検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
疑似微小重力装置で遺伝子伝播実験を進めるにあたり、当装置の消耗品、培地、抗生物質やプラスミド等の分子生物学試薬、蛍光試薬などの物品費を中心に研究費を使用する(123万円)。 また、日本微生物生態学会大会(鹿児島:11月)、日本細菌学会総会(東京:2014年3月)に参加するにあたり、旅費を計上している(20万円)。 さらに、論文投稿、論文別刷、英文校閲に関わる費用、学会参加費を計上している(17万円)。
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