2014 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞仮想培養系を用いた増殖抑制効果の評価と予測
Project/Area Number |
24650156
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
立野 玲子 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (70150208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 潔 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (70233492)
永山 勝也 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (70363398)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | in silico 培養系 / 仮想培養系 / 細胞増殖シミュレーション / 3次元培養 / スフェロイド / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究がめざす全体構想は、がん細胞スフェロイド培養法による増殖試験の記録画像から、がん細胞の仮想培養系を構築することであり、本研究では、プロトタイプの仮想培養系の構築を目的としていた。がん細胞の増殖モデルは、決定論的数理モデルと確率論的モデルを組み合わせた新規モデルを構築するとしてきた。 軟寒天培地で増殖によるスフェロイド形成過程の記録画像を解析して、ロジスティック関数を用いた決定論的数理モデルによる増殖モデルを構築し、同時に、栄養と環境が細胞周期に影響する程度を考慮した増殖モデルを構築した。あるスフェロイドに対して、その増殖モデルは、両モデルでの増殖曲線が一致するように調整した細胞周期を制御するモデルとした。 同一条件の培養でもスフェロイドの形状には多様性がある。最終年度では、この多様性は増殖曲線の静止期への移行過程で特徴付けられるとして、移行過程に応じて増殖モデルを使い分ける方法と、増殖モデルを固定し、増殖過程に応じてパラメータを最適化する方法を開発し、多様性への適応を図った。 本仮想培養系では、分裂して生まれた娘細胞には培養開始からの世代数を付与し、六方細密充填構造をなすように配置させる。最終年度で、静止期への移行過程で特徴付けられる増殖過程とスフェロイド内部の世代数分布との関係を検討した。世代数を示す試料が用意できないため、凍結切片をHE染色した試料でスフェロイド全体に占める壊死領域の体積比を概算すると、壊死した世代数を仮定して求めた体積比と矛盾しなかった。仮想培養系によって内部の増殖活性が推測可能であることが示唆された。今後がん増殖抑制の評価に世代数を応用する計画である。 本研究によって、基礎的ながん細胞仮想培養系のプロトタイプの構築に成功した。これを基盤に抗がん作用の評価と予測に向け、記録画像から細胞移動と接着の解析結果を反映させた仮想培養系の検討を続けている。
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Research Products
(3 results)