2013 Fiscal Year Annual Research Report
血圧測定時の内皮傷害? カフ圧迫後の内皮機能低下現象の解明と動脈硬化診断への応用
Project/Area Number |
24650295
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 和亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359763)
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20532104)
矢口 俊之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70385483)
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Keywords | バイオメカニクス / 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / FMD |
Research Abstract |
血圧計測時の圧平が血管壁に与える影響を調べるため2年間の研究を進めている.研究2年目の本年度は,前年度に引き続き血圧測定を模擬した血管圧平前後の内皮細胞と平滑筋の機能変化のデータを蓄積した.具体的には,上腕にFMD/PMC計測装置の密閉容器を装着し,末梢の前腕部をカフで5分間駆血し,血流を再開した後の上腕動脈の径拡張量(FMD)を超音波プローブで測定した.次に密閉容器内に陰圧をステップ状に負荷して上腕動脈を受動拡張させた後の径収縮量(PMC)を計測した.この後,一旦,密閉容器を取り外し,上腕部にカフを巻き,カフ圧を収縮期血圧と拡張期血圧の平均圧で30心拍保持するなどして血管を圧平した.その後,再び容器を装着し計測を行った.その結果,何れの被験者でも,FMD値は血管圧平により半減したが,20歳代の学生では24時間後に元のレベルに戻っていた.一方,回復の程度は加齢により低下し,50歳代では回復に4日以上を要することが判った.一方,PMC値については血管圧平に伴う変化は見られなかった.これより血管圧平によりFMD値が低下すること,この回復には年齢により差があることが示唆された. 家兎総頸動脈でin situにてFMDを再現する実験系の確立については,血管周囲を満たす生理食塩水の温度が低下しないよう加温系を工夫するととともに,この中に希薄ノルアドレナリンを加えることでFMD現象を生じさせることに成功した.また,血圧計測を模擬した血管の圧平により,FMDが有意に低下しおよそ1/2になることも明らかとなった.更に,FMDが低下した総頸動脈の内面をエバンスブルー染色により観察したところ,内皮細胞が剥がれることによる青染部分は圧平部位の5%以下しか観察されず,FMD低下の原因が血管圧平に伴う内皮細胞の剥離により生じるものではない可能性が示された.
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