2012 Fiscal Year Research-status Report
顔の皮膚血流変化からヒトの情動をセンシングする試み
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24650352
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 直亨 九州大学, 健康科学センター, 准教授 (80273720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福場 良之 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (00165309)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
顔面の皮膚血流を多部位で同時計測することによって,情動の変化を瞬時に判別できるのかを明らかにすることを本研究では目的としている. まず,情動(幸福,悲しみ,恐怖,驚き,怒り)に伴って,顔面の皮膚血流分布が変化するという仮説を検証し,情動のセンシングを試みるために,被験者20名に,幸福,悲しみ,恐怖,驚き,怒りを惹起させるビデオをランダムに呈示した.その際の顔面皮膚血流の変化をレーザースペックル血流計によって記録した.情動毎に,部位別(前額,瞼部,頬,鼻,顎部)の皮膚血流を算出した.どの部位を計測することで情動変化を判別可能なのかを検討した.情動を起こすためのビデオは有効性が日本人を対象に確認されている(Sato et al. 2007)ものを利用した. 味覚に伴う顔面血流について我々が先行研究で提示したような,一部位のみの変化を基に情動を判別できるほど明確な血流変化は観察されなかった.各情動によってビデオの提示時間が異なること,また情動の起こるタイミングが異なることから,現在結果を詳細に検討中である. 瞬時の情動の変化に伴って上記と同様の血流変化がみられるかについて検討するため,刺激として,歌唱に伴う情動変化に着目した.被験者14名に90秒間の童謡を実験者らの前で歌わせた.この際,被験者は困惑,楽しみ,緊張の情動を感じた.瞼部,頬部,上唇部の血流が増加した.ただし,情動の程度と血流変化の程度との間に有意な相関関係は見られなかった.歌唱に伴う情動は顔面の血流を特異的に増加させることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画通りに実験を遂行することができた.当初,数か所の顔面部位の血流を評価することで情動との関連を明らかにできると予想していたが,それほど単純な結果ではなかったため,解析には若干時間がかかっている.一方,当初予定していなかった歌唱による情動変化を用いた実験も遂行することができた.こちらは複数の情動を与えることになってしまったものの,顔面の皮膚血流に特異性が認められた.両実験結果から,来年度には,情動に伴う顔面の皮膚血流の応答についてまとめることが可能と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
情動ビデオ視聴中に,最も情動が強く起こった時間帯について明らかにし,その時間帯における顔面皮膚血流の応答を再度解析する必要がある. 予定通り,情動に伴う血流の変化を他人が見ても,情動の変化を読み取ることができるかについて検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品 200千円 国内旅費 100千円 謝金 150千円 (実験補助および英文校正) その他 50千円
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Research Products
(3 results)