2012 Fiscal Year Research-status Report
「スポーツ・健康サービスラーニング」による中山間地域の活性化に関する研究
Project/Area Number |
24650388
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
辻田 宏 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (90197690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石筒 覚 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (50314977)
上田 健作 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (90248625)
矢野 宏光 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (90299363)
常行 泰子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 講師 (90632589)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | サービスラーニング / スポーツ / 健康 / 中山間地域 |
Research Abstract |
(1)高知県長岡郡大豊町と吾川郡仁淀川町において、地域住民のスポーツ・健康活動及び意識の実態に関するアンケート調査とヒアリングを行う予定であったが,大豊町での実施は当該地域の協力が得られず実施できなかった。仁淀川町のアンケートでは、施設・用具や指導者等の客観的条件の未整備よりも、住民自身の生活スタイルやスポーツに対する優先度やモティベーションなどの主体的条件のほうが,スポーツ・健康活動の阻害要因になっていることが明らかになった。このモティベーションの掘り起こしと向上が今後の鍵になると思われる。 (2)「スポーツ・健康サービスラーニング」を実施している大学の訪問調査では,立命館大学・スポーツ健康科学部を訪問、桐蔭横浜大学・スポーツ健康政策学部については,訪問先の事情により,関連資料の送付に基づき担当者への電話インタビューを行った。立命館大学では,地域パートナーの開発が行き詰っており,大津市教育委員会との連携プログラムを中心に実施されていて,今後のスポーツ・健康サービスラーニングの拡がりに大きな課題を抱えていた。また,桐蔭横浜大学については,ボランティア的なスポーツサービスは実施されていたが,授業としての実質的な開発が途上であった。 (3)吾川郡仁淀川町において、「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラムの開発として,当該地域の関係者と連携・協力し、「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラム(授業)の開発を行い,25年度の本学共通教育の教養科目の授業として「スポーツサービスラーニング演習」を実施することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高知県長岡郡大豊町と吾川郡仁淀川町において,地域住民のスポーツ・健康活動及び意識の実態に関するアンケート調査とヒアリング,「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラムの開発を行う予定であったが,吾川郡仁淀川町のみを対象として集中的に取組むことになった。その理由は,当初予定していた大豊町から諸般の事情により協力が得られなかったこともあるが,一つに的を絞って実施した方が効率的であり,実験的な試みとしては十分であると判断したからである。 研究(研究成果)上は,支障がないと判断している。なぜなら,この二つの地域は非常に似通った環境にある中山間地域であり,仁淀川町で得られる知見や成果だけでも十分に当初の研究目的・計画の達成は可能だからである。 また全面協力を確約してくれている仁淀川町に研究を集中することによって,より充実した研究成果を上げることができると考えている。実際に,「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラム(授業)の開発は,仁淀川町地域住民の協力の下,順調に推移しており,実施に関わる日程もほぼ確定している。 他大学の訪問調査については,立命館大学だけになったが,このことはスポーツサービスラーニングの日本で実績が,まだまだ不十分であることを証明したかたちとなった。そのことで,本研究が重要であるという認識がより深まることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)高知県吾川郡仁淀川町において、「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラムの中核である「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラム(授業)=「スポーツサービスラーニング演習」を本学の共通教育科目として実施する。 (2)スポーツによる地域活性化の取組を行っている中山間地域またはそれに関連する地域について,訪問調査を実施し、そこでの成果と課題や可能性を明らかにすることによって、本研究における「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラム及び「大学教育の地域貢献検証プログラム」の開発・試行に資する。 (3)高知県吾川郡仁淀川町における「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラムの地域活性化に対する効果の評価・検証を実施する。「大学教育の地域貢献検証プログラム」の開発・試行を通じて、「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラムの地域貢献面での効果の評価・検証を行う。その方法は、同プログラムに関わった当該地域の自治体関係者並びにスポーツ・健康団体関係者に対するヒアリングや住民アンケートによるものが中心となる。 (4)高知県吾川郡仁淀川町における「スポーツ・健康サービスラーニング」プログラムの学生に対する教育効果の評価・検証を実施する。「サービスラーニング」本来の目的としての学生の学びの成長や能力の向上の評価・検証を行う。評価・検証の方法としては、学生アンケートによるものとし、本学のサービスラーニングの授業で開発・実施し実績のある「振り返りシート」を改善し活用する。教育面での評価・検証を行うことは、同プログラムが果たした地域活性化(社会的効果)についての検証の際の不可欠の要素となる。 (5)研究総括として、2年間の研究の成果をまとめ、報告書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において実施する予定であった計画のうち,「スポーツ・健康サービスラーニングを実施している大学の訪問調査の実施」に関して,立命館大学・スポーツ健康科学部に関しては訪問調査を実施したが,予定していたもう1つの大学については,実施状況の問題などから訪問調査を行うことができなかったため,それに関連する研究費の残が生じることとなった。 ただし,実施した訪問調査の結果から,サービスラーニングの受け皿となる地域パートナーの開発と役割がより重要であることが判明したため,平成25年度に行うスポーツによる地域活性化の取組を行っている中山間地域またはそれに関連する地域についての訪問調査によって,研究目的の達成は可能であると考えている。このことも踏まえて、平成25年度の研究費と合わせる形で,研究対象となる中山間地域への訪問調査を行う。 また,平成25年度分の研究費については,先の訪問調査と合わせて当初の予定通りに執行する。
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