2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650396
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
彼末 一之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (50127213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 雄介 名城大学, 理工学部, 助教 (00508252)
中田 大貴 奈良女子大学, その他部局等, 准教授 (40571732)
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Keywords | 野球 / 視覚認知能力 |
Research Abstract |
野球の投手が投げる140km/hのボールを打者から見ると、その角速度は3m手前では100deg/s、打者の前を通過する際には1000deg/sを超える。野球選手は一般人に比べて眼球運動が速いが、その上限は800deg/sに過ぎない。それでも、一流打者はいとも簡単にボールを打つことが出来る。このことは、野球選手が眼球運動ばかりでなく、知覚認知能力にも優れていることを示している。本研究では、野球選手のこの能力を明らかにするため、一流打者の眼球運動-知覚系の特性を、最近開発したシステムを用いて検討する。特に本年度は野球選手の優れた知覚認知能力が速い眼球運動の能力によるのか、あるいは網膜上のターゲットが動いてもそれを認識する能力が優れているのかを野球選手と一般の被験者を対象に比較した。その結果野球選手は一般人に比べて速い眼球運動速度をしかも短い潜時で達成していることが明らかになった。しかし、retinal slipに対する刺激の認識成績は一般人と差はなかった。この結果は野球選手の高い動的な視覚認知能力は対象を追跡する眼球運動速度が高いためであることを示唆する。この能力が長期間のトレーニングによるものか、あるいは先天的に高い能力を持ったものが野球選手として生き残ったのかは今後の検討課題である。また本年度は野球選手が視覚的に特定した目標位置(ボール)に対してどれだけ正確にバットをコントロールできるか、そしてそことあえて異なる場所にバットを運ぶときの正確性について検討した。その結果、一流野球選手でも実際のボールではない場所(ボールの一つ上の位置)にバットを運ぼうとすると正確にはできないことが明らかとなった。例えば、「ホップ」するように見えるピッチャーのボールとあえて思った位置よりも高くねらってバットをスイングしても上手く行かない可能性が示唆された。
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